関水金属・鶴ヶ丘新工場(SEKISUI WORKS)のKATO Railway Park・関水本線と鶴ヶ島市鶴ヶ丘児童公園の完成予想図(画像:関水金属)

鉄道模型ブランドの「KATO」で知られる関水金属は、埼玉県鶴ヶ島市に「鶴ヶ丘新工場(SEKISUI WORKS)」を建設しています。場所は関越道と圏央道が交差する鶴ヶ島ジャンクションの直近で、敷地面積は3.25ヘクタール。すでに運用が始まっている新倉庫も併設されています。

関水金属と埼玉県鶴ヶ島市は、この新工場建設決定を契機として2019年10月に包括連携協定を締結。新工場敷地内の緑地と隣接する鶴ヶ丘児童公園を含め「イングリッシュ・ナチュラル・ガーデン」として一体的に再整備し、新工場敷地外からでも構内を安全にゆっくりと見学できるようにするという構想の具体化に向け動いています。

新工場と倉庫の外周およびイングリッシュ・ナチュラル・ガーデンには、軌間762mmと610mmの2種の軌道が敷設された三線軌条(デュアルゲージ)のナローゲージ保存鉄道【KATO Railway Park・関水本線】が誕生する予定です。

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線路は一周約620mの非電化単線で、機関庫を併設した駅が一つ設置されます。また、新工場に隣接してナローゲージ展示室が機関庫とは別に設けられ、シンボルとなるナローゲージ車両を保存展示するということです。

軌間762mmと610mmの三線軌条(デュアルゲージ)を敷設中のKATO Railway Park・関水本線(画像:関水金属)

実際に車両が走る!

KATO Railway Park・関水本線で走るのは、国内外各地の古豪車両や新製されるナローゲージの車両たち。

1948(昭和23)年に製造された元台湾糖業公司のベルギー製蒸気機関車362号機は、車体や走り装置を大改修したうえで外観も含めリニューアル。愛称「OLIVER (オリバー)」号として再起します。

新倉庫内で整備中の「OLIVER(オリバー)」号(画像:関水金属)

同じく元関東特殊製鋼(略称:カントク)の酒井工作所製7トンディーゼル機関車DL3・No.143号機も再整備し、「BILLY(ビリー)」号として活躍します。客車も再整備により生まれ変わった姿となります。

さらに、地元埼玉県になじみの深い車両として、元西武鉄道初代山口線で狭山・多摩湖畔を走っていた蒸気機関車532号と木造客車34号、同路線でユニークな外観で人気のあった蓄電池機関車と遊覧客車「通称:おとぎ電車」を全国各地から再集結させて整備します。蓄電池機関車は「動態保存」を行うということで、実際に走らせるようです。

軌間610mmでは、英国の2軸タンク式機関車からインスピレーションを得た可愛らしい新製の蒸気機関車「OSCAR(オスカー)」号が、羅須地人鉄道協会のTiny Engineeringという工場の匠によって作られており、現在は仕上・調整工程の真っ最中です。なお、オスカー号は8月4日(金)〜 6日(日)に新宿住友ビル三角広場で開催される「鉄道模型コンテスト2023全国大会」で静態展示されます。

新製の蒸気機関車「OSCAR(オスカー)」号 完成予想イメージイラスト(画像:関水金属)

鶴ヶ丘新工場(SEKISUI WORKS)とKATO Railway Park・関水本線は、2024(令和6)年度中に完成予定。一般走行と公開は鶴ヶ島市と関水金属が連携して運営する予定で、鶴ヶ丘児童公園のエリアは常時入園可能になりますが、関水本線や機関庫、車両は安全が確保される場合のみの公開となるようです。

関水金属は「KATO Railway Park・関水本線 情報サイト」として特設ページを開設しており、車両の入線状況や線路敷設の進捗などの情報を随時公開しています。

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