名古屋の「裏口」から、国際色と個性が光る「リニアタウン」へ――。名古屋市は、リニア中央新幹線の開業を見据えた「名古屋駅西地区まちづくり方針」を公表しました。名駅西側は、東側(桜通口)とは対照的に「サブカルチャー」や「国際色」といった駅西独自の文化を低層階の店舗化などで促進し、一味違う賑わいを創出する計画です。
最大の注目は、リニア駅直上に整備される開放的な広場と、市内導入が進む新型低床路線バス「SRT(Smart Roadway Transit)」の乗降拠点整備です。本記事では、駅前の回遊性を劇的に高める「太閤秀吉功路」の活用や商店街の活性化策など、2026年の今、動き始めた「名駅西」の未来像を紐解きます。

名駅西(太閤通口/新幹線口)側は、東側とは一味違う開発を!

東海道新幹線が発着し、将来はリニア中央新幹線のターミナル機能も担うことにあるのが名古屋駅です。アジア・アジアパラ競技大会も控える中、名古屋市は「名古屋駅西地区まちづくり方針」をまとめました。
豊かな未来をつくるまち「リニアタウン名駅西」を掲げ、駅西ならではの個性を生かした顔づくりを柱の1つに据えました。

「国際色豊か・サブカル」などを切り口に、建物低層階の店舗化や低未利用地の活用を進めるほか、イベント開催や情報発信による認知度向上にも取り組むとしています。

名古屋市より

ビジネス交流エリア、駅前の拠点エリア、賑わいエリアなど主たる誘導用途を定め、駅前広場とまちをつなぎ回遊性を向上させる4つの『結節軸』を定めました。駅前のにぎわいを周辺へ広げる結節軸、沿道店舗と一体となってにぎわいを形成するにぎわい軸、各エリアの往来を活性化する交流軸、そして更に西へと来訪者を誘う遠藤ふれあい軸が回遊性向上を担います。

現在の駅の北寄り、リニア駅上部空間を広場に

また、リニア駅上部空間に関しては、広場の整備を想定しています。

リニアの上部空間を利用した広場のイメージ(画像:名古屋市)

この空間には緑が豊富にあり、様々なイベントを体験できるような空間創出を目指します。

リニア上の緑の空間イメージ(画像:名古屋市)

この広場も周辺の道路や街区も再開発され、防災拠点も視野に整えられます。

名古屋駅西側 駅前広場の再整備

名古屋駅西側駅前広場の再整備に関しては、 まずは平面レベルの限られた空間の中で必要な交通結節機能の確保と空間形成が行われ、将来的には、駅前広場の地下や上空なども活用し、交通結節機能の立体的な配置が行われスーパーターミナル駅にふさわしい拠点形成が目標とされています。

名駅西側の広場は、まずは1階でのバスやタクシー乗り場などの整備から(画像:名古屋市)

西側広場の整備計画には、交通機能の集約化、新たな都市機能の導入、SRTの乗降・待合空間の整備も盛り込みました。
SRTは、名古屋市が導入を進める新型低床路線バス「Smart Roadway Transit」の略称。このSRTの乗降・待合空間の整備も計画していて、リニア中央新幹線の開業を見据えた交通機能強化の一環と位置づけています。

(参考記事)名古屋の新公共交通「SRT」【2月デビュー】名古屋駅〜栄を走る黒の連節バス!運賃・ルート・乗り方から・デザインまで解説 https://tetsudo-ch.com/13020881.html

あわせて、ストリートデザインの推進が行われ、リニア駅上部空間広場を中心に人々が集い交流が広がる「にぎわい」空間づくりが行われます。

結節軸のストリートデザインが推進されます(画像:名古屋市)

また、駅周辺土地の高度利用も進める方針です。

豊臣秀吉の生誕地を活かすなど、個性的なまちづくり

このほか、太閤秀吉功路を活用した地域の魅力向上と発信なども行われます。
名古屋市中村区が豊臣秀吉の⽣誕地であるという歴史的な地域資源を活用し、名古屋駅の⻄側「駅⻄」を出発点として、⼤正から昭和の雰囲気を残すまち「⼤門」を経て、秀吉⽣誕の地「中村公園」までの道のりを散策路として設定し、「太閤秀吉功路」と命名して、歩きたくなる散策路として広める活動をしています。このような取り組みで人流を作り出すことで、周囲の街の活性化への貢献も期待されます。

「太閤秀吉功路」のルート(画像:名古屋市)

その他にも、居心地が良く歩きたくなるまちなかの形成、街並み・景観ルールの検討、名古屋駅西銀座通商店街の活性化、自転車利用環境の向上を掲げ、駅前のにぎわいを西側へ広げ、駅西界隈の回遊性向上につなげたい考えです。名古屋市は、大規模地震時の帰宅困難者対策、エリアマネジメント活動の促進、客引き行為等対策の推進にも取り組むとしています。

巨大な壁のような超高層ビルが並ぶ東側に対し、名駅西側は「人間らしいスケールの賑わい」を感じられる場所へと進化しようとしているようです。リニア中央新幹線の開業に向け、駅前広場から商店街の奥深くまで、新型バスSRTと人の歩みが融合する新しい風景。名駅西口が、単なる「新幹線の乗り場」から、何度でも訪れたくなる「名古屋の新しい顔」に変わる日は、もうすぐそこまで来ています。
(画像:PIXTA、名古屋市)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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