2024年4月の「医師の働き方改革」まであと半年。世界トップレベルの救命率を誇る、日本の循環器救急診療は、今後どのように取り組んでいけばいいか―――。

そんな課題に向けて、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)は、冠動脈カテーテル治療を行っている病院を対象に、第1回 働き方改革実態調査を実施。

その結果をふまえ、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)上妻謙 理事長(帝京大学 医学部 内科学講座・循環器内科 主任教授)、同 森野禎浩 副理事長(岩手医科大学 内科学講座 循環器内科分野 主任教授)が7月28日、直近の課題と取り組むべき方向性について、説明した。

都道府県別の緊急PCI実施率、院内死亡率に衝撃の較差

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日本心血管インターベンション治療学会 森野禎浩 副理事長(岩手医科大学 教授)は前段、循環器科医師へのアンケート調査結果をふまえ、「我が国の急性心筋梗塞診療について、海外と日本の違いと、大きな国内地域差がある」と指摘し、こうまとめた。

◆我が国の虚血性心疾患による死亡は、世界でも最も低いグループにいる。

◆緊急PCI(経皮的冠動脈インターベンション)により急性心筋梗塞の死亡率は劇的に改善した。

◆我が国では、小規模のPCI施設が多いが、近所で緊急PCIが完結できる体制は急性心筋梗塞の救命にプラスに働いてきた。

◆施設あたりの治療医数が少なく、夜間や週末の時間的拘束が強く、過酷な勤務実態の上に成り立ってきた。

◆都道府県別の緊急PCI実施率、院内死亡率には、驚くほど著しい較差(かくさ)がある。

◆医師不足地域では勤務時間の制限が加わると、医療提供体制の維持できなくなる恐れがある。

◆緊急PCIを24時間提供できない地域が生まれると、そこの急性心筋梗塞の死亡率は再上昇する。

◆緊急PCIの実施体制を中心に、グランドデザインから循環器救急医療について考え直す時期である。

―――森野禎浩 副理事長はまた、急性心筋梗塞の詳しい情報は、「急性心筋梗塞.com」を参考にしてほしいとも伝えていた↓↓↓
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急性心筋梗塞・心不全の急性期治療ができない場面・地域が増加

次に、日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)上妻謙 理事長(帝京大学 医学部 教授)は、今回の切実な調査結果について、こう説明した。

「24時間体制で緊急のカテーテル治療に対応している病院の割合は90%にのぼり、48%の病院は毎日循環器内科当直がおり、内科あるいは全科の当直で緊急カテーテル治療のときのみオンコールで循環器の医師が来る病院も48%でした。

夜間当直明けの勤務は 54%が通常勤務のままで、当直明けを休みとしている病院は 6%しかありませんでした。

働き方改革に対する対応では労働時間の申請区分をまだ決めていない病院が 40%にのぼり、当面の目標とされる A 水準で申請する病院は 31%のみでした。他の 29%は時間外労働が長い B または C 水準でした。

当直体制を維持するためにスタッフの増員あるいはバイト勤務医を増やすと答えたのは 10%のみで、大半は現状のまま(56%)あるいはまだ決めていない(20%)という回答でした。

現状の人数のまま体制を維持すると答えた施設の 66%は 6 人以上の循環器内科スタッフが所属している施設です。

オンコールの呼び出しに対する翌月までに与える代償休息を規則通り行う予定と答えたのは 15%のみでした。

26%の病院が外部の病院の当直のバイトを派遣し、その派遣を維持すると答えたのは 21%のみで、宿日直許可を取得した病院のみに派遣する 29%、派遣先を縮小する 9%、まだ決めていない 40%という現状でした」

医師の働き方改革対策で行うべきこと

日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)上妻謙 理事長は、こうした調査結果をふまえ、「医師の働き方改革対策で行うべきこと」について、こうまとめた。

◆当直による連続勤務を是正する

◆宿日直許可による見せかけの対応策ではない

◆オンコールの待遇を改善する(翌月末までに代償休息の義務)

◆タスクシフト・タスクシェアの促進

◆他の職種も十分な人数がいない

◆ICTの利用で効率化

◆診療科の偏在是正対策

◆診療科、診療内容による待遇の差別化

◆専門医機構を利用した地域配分の適正化

上妻謙 理事長「CVITが行うべきと考えていること」

日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)上妻謙 理事長はこの説明会の最後に、CVITが行うべきと考えていることについて、次の5つのアクションを伝えた。

◆CVIT会員の働き方改革に関する知識の普及をはかる

◆施設の集約化と循環器救急医療が不可能な地域の公示

◆医師の再配分の情報提供

◆病院管理者へ循環器医の待遇改善のための働きかけ

◆救急医療が不可能な地域の住民に実態を伝える

―――日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)は、心血管疾患患者に対する有効かつ安全なカテーテル治療の開発と発展、臨床研究の推進とその成果の普及をもって、診断治療技術の向上と学術文化の発展に資することで、心血管疾患の予後改善の責務を広く社会に果たすことを目的に設立。

会員数は1万2,000人を超え、心血管カテーテル治療を代表する団体に。

8月には福岡PayPayドーム・ヒルトン福岡シーホークで、第31回日本心血管インターベンション治療学会学術集会「CVIT2023」が開催される。現地開催は8月4~6日、オンデマンド配信は8月24日~9月30日。

◆日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)
https://www.cvit.jp/