世界の画家たちも感動し称賛「胸の高鳴りと興奮を感じた」__パラリンアート初の世界大会、東京で表彰式

2018.08.28

彼らにはわたしたちができないことが、できる。わたしたちが見えないものが、見える。わたしたちが表現できないことが、表現できる。いろんな意味で、アーティストとしてとてもうらやましく思います―――。

“祭り”がテーマということもあり、どの作品からも描き手の魂の鼓動が伝わってくるものばかりで、作品のひとつひとつの色彩がうごめき、さまざまな音が聴こえてくる―――。

どの作品も、テーマである祭りをとおして、よろこびや感動が、鮮度を失うことなく作品に反映されていて、楽しかった。ほんとうに感動しました―――。

それぞれの作品から、胸の高鳴りと興奮を感じました。華やかさ、楽しさ、切なさなど、大切な気持ちが絵のなかにきちんと描かれていて、同じ絵を描く人間として、感動しました―――。

Keep on drawing !!

障がい者アーティストの経済的な自立をめざすパラリンアート。その初の世界大会「Paralym Art World Cup 2018」が行われ、入賞作品が決定。

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8月27日、その表彰式が帝国ホテル 東京本館で開かれ、世界各国のパラアーティストと、欧米やアジアをはじめとする各地の大使館関係者たちが集結。冒頭のコメントは、世界で活躍する画家たちの審査コメントだ。

1292作品のなかから選ばれたのは……

41か国のパラリンアーティスト、1292作品(国内667+海外625)から選ばれたグランプリは、シンガポール在住 Fern Wong Li Ting(ファーン・ウォング・リー・ティング)さんの『Fireworks』(ファイヤーワークス)だった。

「ペンと5つのボックスを使って、点で描いていく。絵を描くときはすごく集中して、頭がボーッとして、幸せな気持ちになる。来年もがんばりたい。きっといちばんになる」(ファーンさん)

全盲のカメルーン人が準グランプリに

そして準グランプリに選ばれたのは、全盲のパラアーティスト、カメルーンのLucio Love(ルシオ・ラブ)さんによる『La Danse des Notables』(ラ・ダンス・デ・ノターブレ)と、石川県に住むKOTO(コト)さんの『にぎやかな祭り』の2作品。

全盲のルシオさんは、身体からわき出るイマジネーションを、やはり目が不自由な美術サポーターにさまざまなコミュニケーション手法で伝えながら、絵というかたちに仕上げていくという。

また、KOTO(コト)さんの受賞は、まさにパラリンアートだからこそできるケース。実は、コンテストをめざして絵を描いたのは、人生で初めてという。

このエピソードを控室で聞いた麒麟・川島明 同大会公式アンバサダーは、「KOTOさんは実は、普段から絵を描いているわけじゃないんですね。日々、暮らしていてたまたまこのパラリンアートの作品募集をインターネットでみて、初めて本気で絵を描いんだと」とコメント。

「そういう意味でも、このパラリンアートがなければ、このすばらしい絵は存在しなかった。世に出る機会はなかったんだと。こうした例をみても、このパラリンアートが、まだ知らない自分の才能を表現できる場としても活かせると思いました」(川島アンバサダー)

障がい者の社会参加と経済的自立をめざせ

パラリンアートの理念は、「障がい者がアートで夢を叶える世界をつくる」。障がい者の社会参加と経済的自立へむけた仕組みづくりを重ね、今回、初の世界大会へと結実。

障がい者自立推進機構の中井亮代表理事は表彰式で、「2020東京オリンピック・パラリンピック開催で、ひとつの節目をむかえる。わたしたちは、さらにその先へむけ、障がい者の才能、すべての人の才能を発掘し、発信していきたい」と伝えた。

また、この日は麒麟・川島アンバサダーのほか、尾木直樹 同アンバサダー(教育評論家)、審査員を務めた書道家・金澤翔子氏、画家・遠藤彰子氏などが登壇。手塚プロダクション協力による鉄腕アトム法被を着て、受賞作品を祝った。

川島「アートがいま一番ピュア」、尾木ママ「もっとありのままに生きていい」

同大会の公式アンバサダーを務める麒麟・川島と尾木ママも、世界のパラリンアートと対峙し、それぞれに感じ、こうコメントしていた。

麒麟・川島「堂々とアートのどまんなかを歩いて」

「2年後にやってくる東京オリンピック・パラリンピックは、記録やパワーで金メダルを競う。でもパラリンアートというコンテストは、世界中の作品を鑑賞した人の心が動けば、優勝になる。そう思うと、アートがいま一番、ピュアじゃないかなとも思います」

「パラリンアートがスゴいなと思うのは、その作品に対して、『じゃあ、わたしに買わせてください』とか、大企業が『いっしょに仕事がしたい』という動きにつながる。描いているアーティストたちの自立にもつながる。そこがほんとうに素晴らしいと思っています」

「障がいをもっているからという、うしろめたさなんてパラリンアートにはありませんでした。堂々と、アートのどまんなかを歩いて、みなさんの心を、もっともっと動かしていってほしいです」

尾木ママ「いまを輝いて生きていてほしい」

「このパラリンアートを拝見して、その作品たちを観て、ドキドキ感と同時に涙がでてきそうになりました。そのすべての作品たちを前に、泣けてきました。この感覚はなんだろうと。変なんです。すごくホッとして、安堵感からか何かが、涙で流れそうになってくるんです」

「わたし先日、ラジオの収録で、『死にたい』『生きていけない』という声が次々と押し寄せてくる場に直面しました。この10年間、8月から9月にかけて、300人もの多くの子どもたちが、自ら命を絶っているんです。みんな、自殺してしまっているんです。実は日本は、先進国のなかでも、自殺がもっとも多い国のひとつです」

「若者が生きづらい国。自ら命を絶っていく国。子どもたちの声を聞いて、いまもはらはらしています。月曜日には、学校が始まります。わたしはブログでこう伝えました。『学校に行きたくない人は、無理に学校に行かないで。緊急避難して』と。そんな場に直面したからでしょうか、パラリンアートの作品たちを見たとき、涙があふれてきました」

「『死にたい』と思っている人たちに、ぜひ、こうしたパラリンアートの作品を、観せてあげたい。パラリンアートに描かれている世界のように、もっとありのままに生きていい。いまを輝いて生きていてほしい。障がいを持つみなさんに、いっぱいそういう思いをぶつけていただきました」

―――今回のパラリンアート世界大会 2018は、Block Co Plus、エイジスの協賛を得て開催。その受賞作品は、同大会公式ページで閲覧できる。また、パークホテル東京で9月3日から12月2日までの「いっぱい遊びコト展」開催後に、受賞作品の展示・販売も行われる予定。

来年開催の Paralym Art World Cup 2019 の応募テーマは「舞」(DANCE)。

(C) paralym art

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