南海の名車がデビュー時の形式・カラーでいよいよ千葉に復活 銚電が新型車両「22000形」出発式(千葉県銚子市)【レポート】
2023年7月の開業100周年記念イベントでの発表後、翌8月には車種を公表。年をまたいだ2024年2月には車両の現地到着が明らかにされるなど、9ヵ月間にわたり鉄道ファンの話題を集めてきた銚子電気鉄道(銚電)の新型車両が2024年3月9日、ついに報道関係者・地元関係者にお披露目されました。
車両基地のある仲ノ町駅での出発式では、「22000形」の新しい形式名を披露。譲受元の南海電気鉄道で1969年のデビュー時に名乗っていた22000系が、エメラルドグリーンが基調の南海の旧塗装とともに、半世紀の時を越え千葉で復活しました。
車両改造は京王重機で
出発式の前にワンポイント。22000形デビューで、銚電、南海と並ぶもう一つの主役が京王重機整備です。社名で分かるように京王電鉄のグループ企業で、愛媛県の伊予鉄道、群馬県のわたらせ渓谷鐵道、島根県の一畑電車といった京王からの譲渡車の改造を受け持ってきました。
銚電と京王重機は、100周年イベントで連携協定を締結。22000形の車両改造を担当したほか、今後の車両検修・整備にも協力します。
「天空を駆けた電車で、当社の業績も天空に」(竹本社長)
出発式のサブタイトルは、両社の社名から発想した「なんかいいちょうしに!」。式には銚電の竹本勝紀社長と南海の梶谷知志取締役常務執行役員・鉄道事業本部長、京王重機の寺田雄一郎社長、来賓として銚子市の越川信一市長が出席。
竹本社長は、「南海の名車が55年の時を越え、エメラルドグリーンの塗装を身にまとって銚子にやってきた。新型車両は、沿線に広がる春キャベツ畑のイメージ。南海高野線の急坂を天空に駆け上った車両とともに、当社の業績も天空に。銚電が目指すのは、リニアならぬシニアモーターカー。地域の皆様、全国の鉄道ファンの皆様に愛される鉄道を目指していく」とおなじみの自虐コメントを交え、笑いを誘いました。
続くあいさつや祝辞も、「銚子の地を調子よく走ってくれるはず」(梶谷本部長)、「難解(南海)な車両改造だったが、無事納車できてホッとしている」(寺田社長)、「何回(南海)も乗りたくなる車両に」(越川市長)と、ユーモアいっぱいに新型車両のデビューを祝いました。
愛称名は「ズームカー」
ここで、改めて22000形について。譲渡前の南海では2200系でしたが、登場時は22000系。今回、デビュー時の形式に戻ったわけです。番号は22007と22008で、こちらも登場時の車番を復活させています。
南海高野線の山岳区間を走る、一般車両の愛称名は「ズームカー」。由来は諸説あって、カメラのズームレンズあるいは航空機のズーム上昇(機体本来の上昇率を上回る角度での飛行)とされます。
初期のズームカーは、国鉄湘南電車(モハ80系)のような先頭部2枚窓でしたが、22000系は連結運転を想定して、通り抜けできる貫通扉付きの3枚窓でした。
高野線のほか、最低2両で編成を組めるコンパクトさを買われ、支線でも活躍してきました。
営業運転開始日は未定
出発式を終えた22000形ですが、銚電によると、営業運転に入るのはもう少し先になるとのこと。銚電ファン・南海ファンの皆さま、ホームページなどで情報をチェックしてみてください。
出発式当日は仲ノ町~外川間を1往復。仲ノ町では銚子吹奏楽団が「銀河鉄道999」の演奏で送り出し、沿線では地域の人たちが手を振って新型車両を歓迎しました。
記事:上里夏生