京王線全体ランキングと2021年度~2024年度の伸び率データ分析

ここで、王線・井の頭線を含めた、京王電鉄全体での乗降ランキングをお伝えし、その後は伸び率の高い駅を紹介します。

【2024年度・京王線全体ベスト10】
1位 新宿 670,239人
2位 渋谷(井の頭線) 286,940人
3位 吉祥寺(井の頭線) 127,213人
4位 調布 118,575人
5位 下北沢(井の頭線) 107,602人
6位 橋本(相模原線) 88,419人
7位 分倍河原 85,928人
8位 府中 81,516人
9位 千歳烏山 79,689人
10位 京王多摩センター(相模原線) 78,801人
(※明大前は乗り換え人員を含まず京王線/井の頭線単独で比較しています。明大前での京王線=京王井の頭線の乗り換え人員数は、1日平均で150,383人となっています。)

【2024年度・京王線全体ワースト3】
1位 府中競馬正門前(競馬場線) 2,442人
2位 長沼 3,840人
3位 多摩動物公園(動物園線) 4,006人

トップはやはり新宿です。都営新宿線方面や京王新線区間とも連動し、乗り換え需要を力強く取り込んでいます。上位には渋谷・吉祥寺・下北沢という主要ターミナルが並びました。
新宿駅周辺では、西口地区の大規模再開発が進行中です。小田急・東京メトロ・東急不動産の3社が「新宿駅西口地区開発計画」のA区で新築工事に着手し、地上48階級の高層棟が計画されています。国土交通省も本計画を優良な民間都市再生事業として認定しており、歩行者ネットワークや駅前広場の再編を通じて「新宿グランドターミナル」構想の中核を担う計画です。

府中競馬正門前がワースト1ですが、競馬開催により大きく左右されるという、他の駅とは違う特殊要因があります。

再開発進む新宿

伸び率データの分析(2021年度→2024年度)

ここからは、コロナ禍から復活を遂げつつあった2021年度のデータと、最新の2024年度のデータを比較して、伸び率が目立ったトップ3駅などの状況をお伝えします。

伸び率トップは再開発エリアの「初台」

全線の中で伸び率が特に目立つのが、初台駅です。2021年度の44,463人に対し、2024年度には59,407人を記録し、約33.6%増と大きく伸長しました。

初台:59,407人(2024年度)← 44,463人(2021年度)・伸び率 約33.6%増
これは、新宿駅西口地区での大規模な再開発が進行し、周辺のオフィス需要や通勤・ビジネス利用が活発化した影響とみられます。新宿駅西口地区開発計画では、地上48階級の高層棟が計画されるなど、「新宿グランドターミナル」構想の中核を担う計画が進んでいます。

観光・イベント需要の回復が顕著な駅

コロナ禍からの回復により、観光・イベント需要が戻った駅の伸びも顕著です。

飛田給:26,692人(2024年度)← 18,854人(2021年度)・伸び率 約41.6%増
味の素スタジアムの最寄り駅である飛田給駅は、2021年度の18,854人から2024年度には26,692人へと約41.6%の大幅増を記録しました。これは、スポーツやコンサートイベントが本格的に再開したことによるものです。

調布:118,575人 人(2024年度)← 98,916人(2021年度)・伸び率 約19.9%増
京王線と相模原線の乗り換え拠点である調布駅も、2021年度の98,916人から2024年度には118,575人となり、約19.9%増の安定した伸びを見せています。駅を地下化して行われている、駅前広場の再整備事業も、いよいよ2025年度末の完成を予定しています。

リニア新駅予定地「橋本」が加速中

相模原線のターミナルである橋本駅の動向は、将来のアクセス拡大を背景に特に注目されます。橋本駅の乗降人員は2021年度の74,104人 から2024年度には88,419人 まで増加しており、約19.3%の伸びを示しています。これは、橋本が将来のリニア中央新幹線「神奈川県駅(仮称)」の設置予定地であることも影響していると考えられます。現地ではすでに工事が進行中であり、広域アクセスの拡大や周辺再整備の進展によって、交通の要所としての存在感を急速に高めています。

京王線では、夕方以降に運行する座席指定列車「京王ライナー」も定着し、確実に座って帰りたい利用者の人気を集めています。京王八王子方面や橋本方面などの長距離区間で利用が多く、通勤後や観光帰りの快適な移動手段として沿線の輸送を支えています。この京王ライナーは、都心から離れた駅の、利用者増加に貢献をしているものと考えられます。

京王電鉄の2024年度乗降人員データは、沿線がコロナ禍から力強く回復していることを示しました。特に、新宿の再開発エリアや、リニア新駅として期待が高まる橋本駅周辺は、今後もさらなる乗降客の増加が見込まれます。京王ライナーを活用した快適な通勤や、将来の資産価値を考える上でも、本記事のランキングや成長分析を参考にしてみると良いのではないでしょうか。
(データ・画像:京王電鉄、写真:PIXTA)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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