ハンドルを握るのは路面電車と路線バスの〝二刀流〟 岡山電軌にマルチスキル人材が誕生(岡山県岡山市)

路面電車を運転するかと思えば、路線バスのハンドルも握る、そんな〝二刀流社員〟が岡山県の両備グループに誕生しようとしている。
岡山市を中心に公共交通サービスを提供する岡山電気軌道に2025年11月25日、電車とバス双方の運転士を目標とする2人のバス運転手がデビューした。およそ1年間、路線バス運転の実務経験を積んだ後、路面電車の教育・国家試験を受験。電車もバスも運転できるドライバーを目指す。
両備グループの交通運輸事業セクション(トランスポーテーション&トラベル部門)は、慢性的なドライバー不足の対応策の一つとして2023年6月、「宇宙一本気(マジ)な乗務社員採用」とユニークに命名したプロジェクトを始動。柔軟な人材採用や働き方改革に挑戦している。
岡山電軌は2025年1月から、プロジェクトの一環として「二刀流社員」制度による社員を募集。具体的には路面電車と路線バスの両方を運転する専門職で、社員運用の柔軟性を高めて安定した交通サービスを提供する。
新制度で路線バスドライバーになったのは、岡山県出身の人見光輝さんと、千葉県出身の蒲原恵太さん。人見さんはうどん店員、蒲原さんは自衛隊と千葉県のバス運転手を経て、「この働き方なら、自分の可能性を広げられる」などの強い思いを抱いて応募した。
今後は路線バス運転の経験を積みながら、2027年1月ごろから「路面電車教育」を半年間受講。乙種電気車運転免許取得後に、同年8月ごろから路面電車乗務員としてもデビューする。
人見さんは「安全第一にお客さまに喜んでいただける運転ができるよう、精いっぱい取り組みます」、蒲原さんは「お客さまに快適な乗車時間を提供し、路線バス・路面電車両方のプロとして乗務したい」と話す。
岡山電軌の軌道線は、東山(ひがしやま)線と清輝橋(せいきばし)線の2路線で路線長4.7キロ。全国の現役路面電車で最短の路線距離で知られる。
記事:上里夏生
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