老朽化したローカル気動車(ディーゼルカー)の置き換え用として、JR四国が製作を進めてきた新型ハイブリッド式ローカル車両「3600系」。その量産先行車がいよいよ登場します。車両は徳島運転所に配置され、年明けからの試験走行を経て2026年6月の営業運転開始を目指します。

【参考】
JR四国が投入する「ハイブリッド式ローカル車両」デザイン発表 老朽化した気動車を置き換え、量産先行車は2025年12月に完成見込み(※2024年2月掲載)
https://tetsudo-ch.com/12943140.html

環境性能と快適性を両立した「3600系」

今回完成したのは量産先行車4両(2両1編成×2本)。新たに採用されたハイブリッドシステムは、ディーゼルエンジンで発電した電力と、ブレーキ時などに蓄電池へ貯めた電力を組み合わせてモーターを回転させ走行する仕組みです。

最高速度100km/h、静粛性と燃費を向上

従来の車両との比較

従来の気動車特有のギアチェンジをなくし、駅停車時にはアイドリングストップを行うことで、静かで快適な乗り心地を実現しています。また、蓄電池の電力を有効活用することで燃費を向上させ、CO2排出量の削減も図ります。最高運転速度は100km/h。複雑な機械部品や回転部品もなくなり、安全性と信頼性、メンテナンス性の向上も期待されています。
従来車両(キハ47形)と比較すると、床面高さが100mm低くなったことで乗降しやすくなっているほか、バリアフリー設備も充実しています。

四国の自然を映すデザイン

「3600系」車両外観デザイン

エクステリア(外観)はステンレスボディをベースに、四国の海や空をイメージした「ライトブルー」を配色。ゴールドのラインと側面のストライプで、空から海や川面に降りそそぐ光を表現しています。量産先行車は「SHIKOKU Hybrid Vehicle 3600」のロゴ表記に加え、きらめきの雫をあしらった特別仕様。環境に寄り添う未来の鉄道を象徴するデザインです。

温もりと機能美を調和させた車内

車内のインテリアデザイン

インテリアは木目調の床面と、明るい布目地の壁面を組み合わせ、ナチュラルな温もりと機能美を調和させた空間に仕上げられました。座席のモケット(表地)は外観と同じくブルーを基調とし、優先席には色弱者にも認識しやすいグリーンを採用。四国の山々と植物の芽吹きをモチーフにしたデザインで、環境への優しさを表現しています。

「3600系」概要

今回発表された3600系量産先行車の主な仕様は以下の通りです。

室内座席レイアウト

車両形式:3600系
構成:2両1編成(Mc2・Mc1)
最高運転速度:100km/h
駆動システム:ハイブリッド式(2軸駆動)
定員:272名(2両編成時)
主な設備:車いすスペース、車いす対応トイレ、電気式戸閉装置(ドア挟み時の自動開機能付き)、液晶式情報表示器、LED照明、非常通報装置(SOSボタン)、客室用防犯カメラ

今後の導入計画

2026年1月から性能確認などの走行試験を行い、乗務員の教育・訓練を経て、2026年6月の営業運転開始を目指します。量産車については2027年度から順次導入を予定しており、今回完成した量産先行車を含めて合計35編成(70両)が製作される計画です。

老朽化した気動車に代わる、環境に優しく快適な新型車両の登場。完成のときが今から楽しみですね。

(画像:JR四国)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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