インド新幹線・車両のデザインを初公開、ムンバイで海底トンネルの350t巨大マシンも始動!2027年夏に日本の新幹線システムで先行開業へ

日本の新幹線システムを導入し、建設が急ピッチで進むインド初の高速鉄道(ムンバイ〜アーメダバード間高速鉄道:MAHSR)が、重要な転換期を迎えました。2026年5月、インド鉄道省は首都ニューデリーの庁舎前にて、同国初となる高速列車「Vande Bullet(形式名:B28)」の外観イメージ(ファーストルック)を一般公開しました。白とオレンジを基調とした流線形の近未来デザインは、公開当初から現地で大きな話題を呼んでいます。
一方、インフラ建設の現場でも大きな進展がありました。プロジェクト最大の難所とされるムンバイの海底トンネル区間に向け、重さ350トンもの巨大シールドマシンの心臓部が据え付けられました。2027年夏の最初の区間開業へ向けて動き出した、インドの国産高速列車プロジェクトと日本が主導する新幹線インフラの「現在地」を徹底解説します。
ベールを脱いだ近未来デザイン!インド国産高速列車「Vande Bullet」への期待
インド鉄道省がニューデリーの「鉄道会館(Rail Bhavan)」ゲート4に掲出し、大きな注目を集めているのが、インド初の国産高速列車をイメージした外観デザイン(First Look)です。
🚆Pictures of the country’s first proposed bullet train have been installed at Gate Number 4 of Rail Bhavan.@RailMinIndia | #Bullettrain pic.twitter.com/PEbuNXUS8r
— All India Radio News (@airnewsalerts) May 18, 2026
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今回イメージが公開されたのは、インドで大成功を収めている国産特急「Vande Bharat」の技術を発展させ、インド国内の車両製造大手BEML社などが開発を進めている通称「Vande Bullet(形式名:B28)」の試作車を意識したコンセプトアートです。(あくまでプロジェクトを象徴するイメージ(コンセプトアート)であり、確定した最終デザインではない」とされています。)
インド国鉄の最新トレンドである白とオレンジをまとった流線形のデザインは、インド国民に「自国技術による高速化」という未来を強く印象付けています。

インド高速鉄道では、車両の運行管理システムなどに日本の「新幹線システム」が採用されます。車両に関しては、当初は日本の新幹線「E5系」車両の導入を計画していましたが、車両価格を巡る日印間の交渉難航やインド政府の国産化推進政策への移行により、営業開始当初はインドの車両メーカーBEML社が設計する営業最高時速250kmの高速鉄道車両を導入することになりました。
その後日本が、JR東日本が2030年度内の営業運転開始をめざし開発を進めている新型車両「E10系」の導入を新たに提案し、日印首脳会談でも協議が行われました。その結果、日本でのデビューとあまり差が無い時期に、インドにおいてもE10系車両を導入する意向だと伝えられています。
【参考記事】 【インド新幹線】全508kmの軌道設計を日本企業が完遂へ!難工事が必要な工区の契約締結でプロジェクトは新局面、2027年試験走行へ https://tetsudo-ch.com/13018320.html
インド初の海底トンネルへ!350トンの巨大カッターヘッドがムンバイでドッキング
車両デザインの公開と時を同じくしてインフラ建設の現場でも、工事にとっての重要なポイントが達成されました。ナショナル高速鉄道公社(NHSRCL)は、ムンバイの東部郊外にあるビクロリ(Vikhroli)の立て坑において、トンネル掘削の主役となる超大型シールドマシンの「カッターヘッド」の据え付け作業が無事に完了したと発表しました。

今回地下へ降ろされたのは、直径13.6メートル、重量350トンという、外径約14mの大きなトンネルを掘り進めるための怪物級のパーツです。このマシンは、全長21kmのムンバイ・トンネル(うち7kmはタネ・クリークの下をくぐるインド初の海底鉄道トンネル)を掘削するために組み立てが進められています。将来的に日本の新幹線システムを安全に走らせるための強固な土台作りへ向け、日印独の技術が結集した海底掘削作戦がいよいよ本格始動します。

「インド国産の情熱」と「世界一安全な日本の新幹線技術」が織りなすハイブリッドの未来
当初計画されていた日本の新幹線「E5系」車両の直接導入から、現地の車両製造大手BEML社が設計する営業最高時速250kmの「B28」による2027年先行開業へのシフトは、日印間のコスト交渉だけでなく、自国のハイテク産業を育成するというインド政府の強い意志の表れです。
現地メディアや一般国民の間では、BEML社などが手がける国産高速列車(営業最高時速250km級)への期待感が先行していますが、ムンバイ〜アーメダバード間の約508kmをわずか2時間7分で結ぶという、超高密度かつ安全な運行を裏側で担保するのは、日本が主導する新幹線の土台(運行管理・信号システム)に他なりません。

2026年中には日本からE5系・E3系改造の検査車両が試験走行用に無償提供されるほか、2030年代前半にはJR東日本が開発を進める最先端の「E10系」の導入も協議されるなど、このプロジェクトは今や、単なる「新幹線の輸出」を超え、世界の鉄道史に残る「壮大な技術移転と共創のショーケース」へと昇華しているといえるでしょう。
ムンバイ~アーメダバード間高速鉄道(MAHSR)インド新幹線)の概要

プロジェクト名: ムンバイ~アーメダバード間高速鉄道(MAHSR)
全長: 508km
駅数:12駅(ムンバイBKC駅、タネ、ビラール、ボイサール、バピ、ビリモラ、スーラット、バルーチ、バドーダラ、アーナンド/ナディアド、アーメダバード、サバルマティ)
最高速度: 最高時速320km
所要時間: 最速で約2時間7分予定(各駅停車時は約2時間58分)
※グジャラート州の「スーラト(Surat)~ヴァピ(Vapi)」間(約100km)は、2027年8月の先行開業をめざしています。全体完成は、2029年12月の予定とされています。
工事進捗の最新update動画( 5/11)
Watch the latest progress update on the Mumbai-Ahmedabad Bullet Train Project.#BharatKaGarv pic.twitter.com/wpCg8oNZJE
— NHSRCL (@nhsrcl) May 11, 2026
インドの情熱を象徴する鮮やかなオレンジの新型車両が、日本の新幹線のシステムを得て走り出すことになります。2027年の部分開業に向け、ムンバイの海の底では巨大マシンが今も力強く回転を始めています。
170年以上の歴史を持つインドの鉄路に、日本の新幹線マインドがどのようにマッチしていくのか、2030年代に「E10系」が駆け抜けるまで、世界で最もダイナミックなプロジェクトを見守っていきましょう。
(画像:MAHSR、NHSRCL、JR東日本)
鎌田啓吾
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)
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