日本の東西を結ぶ大動脈が、ICTとものづくりの先端技術によってさらなる進化を遂げます。JR東海は、安全の確保を最優先に据えた上で「業務改革」などを行う「2026年度重点施策と関連設備投資計画」を公表しました。東海道新幹線や在来線の輸送サービス強化に加え、超電導リニアの技術開発を進める⽅針が⽰され、設備投資額は連結7780億円、単体7180億円です。このうち中央新幹線関連は3,670億円、輸送サービスの充実には860億円、超電導リニアの技術開発には110億円を充てます。
東海道新幹線への定位置停止制御(TASC)の全営業列車運用開始や、最高峰の快適性をもたらす「個室タイプ」上級クラス座席の導入準備、在来線での次世代新型特急「385系」量産先行車の走行試験開始など、驚きのイノベーションを取り入れた、計画の全貌をお届けします。

リニア中央新幹線の工事進捗

リニア中央新幹線に関しては、JR東海が2026年5月18日に、第一首都圏トンネルと第一中京圏トンネルのシールド掘進工事の進捗状況を更新しました。静岡工区をめぐっては、静岡県が4月17日、JR東海との「今後の主な対話項目」28項目について、3月26日の専門部会をもってすべての対話が完了したとしています。
一方、JR東海は南アルプストンネル静岡工区について、トンネル掘削工事の早期着手に向け、地域の理解と協力を得られるよう取り組む方針です。

(左)釜無川橋りょう上部工 と(右)第一中京圏トンネル(名城工区)

JR東海は、中央新幹線計画について、工事の安全や環境の保全、地域との連携を重視しながら進めるとしています。南アルプストンネル静岡工区については、トンネル掘削工事の早期着手に向け、地域の理解と協力を得られるよう、双方向のコミュニケーションを大切にしながら取り組む方針です。

超電導リニアの技術開発

超電導リニアの技術面では、高温超電導磁石について、将来の営業車両への投入を前提に、さらなるコストダウンと安定運用に向けた検証を進めます。加えて、最新のICT活用での効率的な運営体制の開発のため、AIなどを使った画像解析やビッグデータ分析システムの改良・実証に取り組みます。

新しいL0系改良型試験車「M10」を活用した技術開発も続け、営業車両の仕様策定と設計の深度化を進めます。山梨リニア実験線での累計走行距離は、2026年2月末までに約548万キロに達しています。

超電導リニアの体験乗車(画像:JR東海)

山梨リニア実験線における走行試験は、(2026年2月末までで累計走行距離が約548万kmに達しています。今後様々な形で、超電導リニアの体験乗車を開催します。

東海道新幹線での輸送サービスの充実

東海道新幹線では、一部時間帯で「のぞみ」を1時間に最大13本運転するダイヤを活用し、需要にあわせた列車設定を進めます。あわせて、新たな営業車検測機能を備えた編成を含め、N700Sの投入を継続。2026年度は7編成を導入する計画です。N700Sは2020年度から2028年度までに78編成を投入する計画で、2026年度も増備が続きます。

東海道新幹線 N700S(画像:JR東海)

東海道新幹線では、全駅への可動柵設置に向けた設計や自動運転(GOA2)の導入・開発のために、先行して定位置停止制御(TASC)の全駅、全営業列車での運用が開始されます。
車上の装置が速度・位置情報をもとに自動で精密にブレーキを動作させるため、従来の運転士の手動での停止方法に比べて、停止位置のズレが極めて少なくなります。

定位置停止制御(TASC)の導入による効果

また、東海道新幹線の上級クラス座席の導入に向けた準備も進めます。
個室タイプのサービスを始めるほか、2027年度中には半個室タイプの導入も予定しています。グリーン車のサービス向上なども含め、移動時間の快適性を高める取り組みが続きます。

東海道新幹線の上級クラス座席(個室タイプ)のイメージ(画像:JR東海)

東海道新幹線では、上級クラス座席の導入に向けた準備も進めます。個室タイプのサービスを始めるほか、2027年度中には半個室タイプの導入も予定しています。グリーン車のサービス向上なども含め、移動時間の快適性を高める取り組みが続きます。

在来線では需要に合わせた増結や増発を!

在来線では、「しなの」「ひだ」などの特急列車について、需要に応じた増結や増発を行う方針です。

新型特急車両385系量産先行車のエクステリアイメージ(画像:JR東海)

「しなの」などでの活用が見込まれる新型特急車両385系の量産先行車を新製し、走行試験を始めます。

新形式普通車両HC35形のエクステリアイメージ(画像:JR東海)

このほか、ハイブリッド方式の新形式普通車両「HC35形」の設計も進めます。JR東海の在来線では、特急と普通列車の双方で次世代車両の準備が具体化する1年となりそうです。

海外への日本高速鉄道システム売込みや、グループ連動も

この他に、JR東海では新幹線の高速鉄道システムの海外展開にも取り組みます。台湾高速鉄道での、N700Sをベースとした新型車両導入や設備更新に伴う技術コンサルティングや、米国の高速鉄道プロジェクトを推進するほか、日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを進めるとしています。

また、東京駅や名古屋駅等の駅商業施設の拡張やリニューアル、「ぴよりん」の15周年記念企画の実施、「コートヤード・バイ・マリオット京都駅」の開業、「ヒルトン高山リゾート」、「コートヤード・バイ・マリオット新横浜駅」のリブランド開業など、鉄道事業とJR東海グループ事業との連携を一層深め、グループ全体の成長を目指します。

JR東海の決算状況

こうした中、同社の2026年3月期連結決算は、営業収益が2兆62億円(前期比9.5%増)、営業利益が8,301億円(18.1%増)、経常利益が7,809億円(20.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が5,528億円(20.6%増)でした。単体の運輸収入は1兆5,853億円で、増加額は新幹線が1481億円、在来線が47億円でした。

一方、2027年3月期の連結業績予想は、営業収益が1兆9,930億円(0.7%減)、営業利益が7,020億円(15.4%減)、経常利益が6,530億円(16.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,470億円(19.1%減)です。大阪・関西万博による増収効果がなくなることや、労務費の上昇などを見込み、利益は前期を下回る想定としています。

時速500kmの近未来へ向けて技術を磨く「超電導リニア」や、全列車に自動停止制御(TASC)が導入される「東海道新幹線」。JR東海が今年度投じる7,180億円の巨額投資は、私たちの「日々の安心(全車防犯カメラやホームドア設置)」を確実に守りながら、在来線の次世代特急(385系)の誕生へと繋がっています。

(画像:JR東海)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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