AIやIoT、ビッグデータ、ロボティクスといったテクノロジーが暮らしに入り込むなか、人間としての強みはどこにあるか。学びや仕事とどうむきあうか―――。

そんな課題のヒントを探るべく、教員や塾講師、保護者を対象にした教育フォーラムが、10月14日、東京・御茶ノ水で行われた。

イベント名「未来をつくる教育フォーラム 2018」。手がけたのは、大阪に本社をおく日本コスモトピア。学習塾や生涯学習教室などの開業支援や学習教材を手がける同社主催の定例行事だ。

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今回のテーマは、「地域(ローカル)から創造する生涯の学び」。柱は、いま教育現場で起きている事例を共有するセミナーと、ファシリテーターと全国から選ばれた子どもたちが登場して課題解決へと導く「白熱会議」、そしてパネルディスカッションの3本立て。

海外で学んだ新進気鋭学校長が日本のガラパゴス教育を斬る!

セミナーでは、武蔵野女子学院中学校・高等学校 日野田直彦学校長(前 大阪府立箕面高校校長)や、キャリア教育コーディネーター翁長有希氏、長野県教育委員会 松坂真吾氏、伊那市伊那東小学校教諭 田中愛氏らが登壇した。

なかでも日野田校長は、帰国子女の41歳。帰国後、同志社国際中学・高校に入学し、当時の日本の一般的な教育とは一線を画した教育を受け同志社大学へ。卒業後は、奈良学園登美ヶ丘中学・高校の立ち上げなどを経て、大阪府立箕面高校で全国公立学校最年少(36歳)の校長として着任。

「変化の激しい時代に対応し、世界に貢献できる人材を育成する」をミッションに、着任4年で海外トップ大学への進学者を続々輩出。偏差値も20ポイント前後上昇させ、2018年から武蔵野女子学院中学校・高等学校校長を務めている。

矢継ぎ早に関西弁でヒントや想いを伝える先生に、会場は大盛り上がり。印象的なことばに、「インタラクティブな関係性をもつ授業をつくる」「授業中に発言しないのはいないのと同じ」などがあった。

さらに、「海外の授業で、ペーパーテストは100点なのに、F判定で落とされたときがある。『クラスに貢献してないから』という理由で」と自身を振り返るシーンでは、「これからは、『クラスに貢献する』ということが大事」といい、マインドセットの重要性や積極的に社会課題を解決しようとする姿勢が大事であることを伝えた。

ファシリテーターと子どもたちの熱論に大人たちもうなずくばかり

また、セミナーのあとに行われた第3回子ども白熱会議では、事前の審査を通過した小学校3~6年生が、社会にある事象をテーマとした議題についてファシリテーターと議論。

今回は、沖縄県の女子高生をファシリテーターにむかえ、対話を通した問題解決能力の向上をめざして熱論。

「ゲームばっかりやってほかのことに集中できない」といった課題を投げかければ、「ゲームより楽しいことをみつける」「夢中になることを見つける」「こもってる人を誘ってあげて動くこと」といった声があがり、「ゲームに夢中になるとまわりが見えなくなって、ちゃんとした社会人になれなくなる」と着地。

「じゃあちゃんとした社会人ってなんだろう」とファシリテーターが問いかけると、「年上の人には敬語を使う。常識がわかる人だと思います」と返ってくるという具合……。

「社会で役立つ人はどんな人なの?」というファシリテーターの問には、「アイデアを出す人」「アイデアがないと発展しないから」「むかしのことばかりしてると成長しないし、進歩がない」といった子どもたちのコメントに、聴講している大人たちも賛同し拍手。大きくうなずく姿もあった。

子育て、プログラミング……多彩なワークショップも開催

この「未来をつくる教育フォーラム 2018」では、セミナーや子ども白熱会議と並行して行われる多彩なワークショップも人気で、各プログラムに多数の子どもたちも参加。

ベビーキャリア教育コーナーでは、セミナーで登壇した翁長有希氏が「子どもを『個』として尊重し、能力を引き出すためのアプローチ」を伝授。

またいま注目されるプログラミング教室も充実。こちらも前出の田中愛先生による「ロボットをプログラミングしてみよう」コーナーでは、真剣なまなざしでロボットを組んでいく親子の姿がみられた。

さらに「ドローン操縦をiPadでかんたんコードプログラミング」も人気。参加者は、ミニドローンでものを運ぶシーンを体験し、物流の未来を体感していたようす。

―――自立学習という学びのかたちをいち早く提唱してきた日本コスモトピアの下向峰子代表取締役社長は、「今後も学びのファシリテーターである指導者・教育者、保護者、企業、地域と共創し、ともに学べる機会づくりを継続したい」と話していた。

教育改革の期待が高まるいま、同フォーラムの今後の展開に注目してみて。

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