介護事業を展開する「齋藤アルケン工業」は、日々の買い物に悩む高齢者向けに、買物弱者救済策『”置き食”サービス』を始めます。新たな買い物弱者のための“置き食”サービス「ほほえみマルシェ」です。福祉用具事業所として買い物支援サービスを行うのは山陰地方で初となります。

“置き食”サービス「ほほえみマルシェ」は、約200種類のアイテムの中から高齢者のニーズに合わせた食料品や日用品を自宅に置き、必要な時に必要な物を使用でき、使った分だけ後払いする「置き薬」ならぬ「置き食」サービスです。

福祉用具事業所スタッフが福祉用具のメンテナンスやモニタリングの定期訪問に合わせて、買い物のニーズの確認や商品補充・ 賞味期限管理、代金回収等をおこないます。車がない、店がない、バスが来ない地域で買い物に悩む高齢者の方々に、日常生活に必要なお好みのものを提供することができるようになります。自宅にミニコンビニ感覚で設置し、生活の不安解消の一助になればと始められました。

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商店が廃業してしまい買い物の場所がなくなり、食料品や日用品などを購入するためにタクシー代を往復6,000円もかけて買い物に行くおばあちゃん。身近に買い物弱者が増加している地域の課題がありました。

総務省によると、買い物弱者の増加は団塊世代が高齢者になる2025年から、さらに深刻化すると示しています。2017年の買い物難民・買い物弱者対策調査(総務省)によると、自治体の補助金がなくなれば事業継続が困難な事業も多く、193事業中106事業が赤字なのです。

しかし、買い物弱者支援を単独で事業化するには難しい現実があります。そこで、普段の介護業務で定期的に高齢者宅を訪問するタイミングに買い物支援ができれば、事業者側の負担も少なく、継続的に支援できると考えました。そして、事業者も買い物支援で介護保険外サービスでの売り上げ増も期待でき、一石二鳥のサービスです。


実際、青春18きっぷでローカル線を旅していると、乗り換え駅で数時間を過ごすことがあります。驚くのは駅前に自動販売機しかない駅が複数存在するのです。

島根県の比較的大きな駅で唯一のホテル(チェーンではなく個人経営)に泊まった時にも「一番近いコンビニは?」と訊くと「国道沿いにあるけど歩くと往復2時間くらいかかる」と言われたのです。駅前にはチェーンの居酒屋以外に商店はほぼ皆無。「住んでいる人たちの買物は?」と尋ねると「ずいぶん前に、国道沿いに大きなショッピングモールが出来て商店街が消えて無くなった」という答えでした。その時は往復1500円払ってコンビニに必要なものを買いに行きました。それ以来、ローカル線での宿泊は地図を確認してから、が習慣になりました。

爺ちゃんが亡くなって、免許もクルマも持たないお婆ちゃんが一人残された場合、バスが廃止されてしまい、マジでタクシーでしか買物に行けないのです。少子化も深刻ですが、孤立する高齢者が安寧に暮らせる対策も喫緊の課題です。このニュースが、素晴らしい一歩になることを期待します。

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