玉川大学 ロボティクスラボ が楽しすぎる! 最先端リビング&キッチン ラボから聞こえた学生たちのリアルな声

2020.05.07

ぱっと見、誰が先輩で誰が1年生(取材当時)かわからないこの写真。ここは、東京都町田市で8学部17学科を展開する、玉川大学。

いま彼らがいるこの空間は、ことし2020年春にオープンする異分野融合棟「STREAM Hall 2019」(6階建て)のなかにできた、まったく新しいロボティクスラボ。

ロボティクスラボといっても、ガチガチの工学部的な施設ではなく、その真逆を行くようなリビングとキッチンで構成された、シンプルでアットホームな空間。

なぜ、こうしたリビングやキッチンのなかで、最先端ロボットを開発するかは後述するとして、この写真に登場する人たちのプロフィールを。

まず中央の2人は、玉川大学の2年生、古川花怜さんと三浦玲和さん。その右が4年生の坂巻新さん。そして、左が玉川大学 工学部 情報通信工学科 岡田浩之 教授。

彼らは、「ロボカップ参戦チームつながり」。学生3人は、岡田教授率いる玉川ロボットチャレンジプロジェクトの「eR@sers」(イレイサーズ)のメンバー。

古川さん、三浦さん、坂巻さんは、たまたま同じ工学部情報通信工学科だけど、eR@sers は学部・学科を問わず、誰でも参加できるロボット開発チームとして学内外から注目を集め、多種多様なメンバーで構成されている。

そして彼らがめざすロボカップ(RoboCup)は、「2050年までに、サッカーW杯優勝チームに勝てる、ロボットチームをつくる」という壮大な目標の掲げ毎年開催される「自律移動型ロボット」の研究者の世界競技大会。

このロボカップの発展に貢献してきた研究者のひとりが岡田教授で、昨年からロボカップ日本委員会の会長に就任。ロボカップ日本事務局もこの玉川大学工学部の研究室にあるということで、「ロボット好き」な玉川大学生たちがこのロボティクスラボに集結するというわけ。

すでに新1年生がこのリビングの門を叩き、先輩のメンバーと共にロボカップ優勝をめざして Python などのロボット開発プログラムを動かしているという。

学科・学年・将来、すべて違うけど目標は同じ…夢中になれる時間

まずなぜロボカップ参戦を志し、玉川大学ロボットチャレンジプロジェクトの門を叩いたか。“ロボット開発女子新2年生”の古川さんは、その経緯についてこう話す。

「もともとスマホゲームをプログラミングしながらつくる仕事に就きたくて、その共通言語のひとつ Python などをロボット開発現場で学べるってことで、岡田先生がいるロボティクスラボを訪ねたのが最初です」

「ロボカップ優勝をめざす eR@sers に1年間、身をおいてみて感じたのは、先生も先輩も、年齢や学年を問わず同じ高さで関わらせてもらえる点。いろいろ挑戦させてくれる機会をくれたのはうれしかったですね」

「これからもロボカップ参戦にむけてさまざまなハードルが迫ってくると思いますけど、この経験が情報処理技術者試験(国家試験)やUnity系ゲーム開発に活かされると思います」(古川花怜さん)

彼女といっしょにロボカップ参戦1年目を走ってきた三浦さんは、かつて日本ロボット学会会長や工学院大学の学長も歴任したロボット工学の第一人者、三浦宏文氏(故)を祖父にもつロボット開発の血筋を受け継いでいる。

「もともと高校時代は文系で、おじいちゃんのすすめもあって、理系へと転じて玉川大学 工学部に入学を決めました。玉川大学では入学してすぐに先生と学生の懇談会があって、そこで岡田先生にまず『ロボカップ学生チームに入りたい』と。岡田先生は『おっそうか、いいよ!』と(笑)」

「この eR@sers に入って初めて『すべての学びが開発につながってる』って実感しましたね。ロボット開発プログラムは英語なので、まず英語も必須。線形代数が人工知能(AI)開発に必要であることも体感し、なんでも自発的に学ぶ・動くようになりました」

ゲーム開発志向女子、理転男子の横でそっと寄り添いながらチームを牽引する3年生、坂巻さんがまた玉川大学らしい逸材。坂巻さんは、幼稚園・小学校・中学校・高校・大学と、一貫学校を展開する玉川学園で成長してきたひとり。

「小学生から玉川大学のロボット研究室に出入りしていた」という坂巻さんは、ロボカップに参戦するメキシコチームと技術共有のために、メキシコに1か月半渡航。「玉川大学チームとメキシコチームのいいところを互いに共有し、ロボカップ参戦ロボットをさらに進化させたい」と坂巻さんは意気込む。

そこで気になったのが、このロボティクスラボ空間。なぜリビングとキッチンなのか―――。

家庭生活にとけこむロボットの最先端の開発へ

玉川大学 学生チーム「eR@sers」がめざすロボカップには、サッカー、人命救助(レスキュー)、キッズリーグ(ジュニア)、暮らしのなか(@ホーム)の4つの分野がある。

玉川大学 ロボティクスラボは、このロボカップ4分野のなかの「@ホーム」で最先端を行くことをめざしてつくられた空間ってことで、リビングやキッチンがレイアウトされている。

玉川大学 学生チーム「eR@sers」メンバーは、買い物、留守番、お手伝いといった10種目を1週間で競う@ホーム種目で、人工知能(AI)をどう活用するかを重視した高度なプログラミング技術に挑んでいる。

ベースとなるロボットは、トヨタ自動車と共同開発した高性能ロボット「eR@ser」(チーム名と同じ)。彼らはこの「eR@ser」でトライ・アンド・エラーを繰り返し、学年・学部・学科などを問わず、チーム全員がフランクに自主的な活動で日々バージョンアップさせている。

「ロボットのプログラミングの8割は、失敗(エラー)処理に費やされる。新しい動作が増えるのにあわせて膨大なエラーを想定しなければならない」と話す岡田教授は、ゲーム開発志向女子 古川さんに「じゃあ、Unity のシミュレータをやってほしい」と新たな課題を伝えていたのも印象的。

スマートシティ実現をめざし、トヨタとNTTが連携していくといったトレンドのなかで、玉川大学 ロボットプロジェクトもロボカップ@ホームで優勝をめざし、開発ペースを加速。「女子開発者を増やしたい」という古川さんは、最後にこう伝えていた。

「スマホゲーム開発の現場で仕事したいと思っていましたけど、このロボティクスラボでみんなとロボット開発に関わっていくうちに、ゲームだけでなく、さまざまな分野のロボット開発やプログラム開発に関わりたいと思い始めました」
 
 
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<玉川大学 工学部>
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