デジタル技術革新プロジェクトを設置した鉄道総合技術研究所(鉄道総研)が、研究開発テーマの具体例を公表した。

鉄道総研 デジタル技術革新プロジェクトは、画像解析やAIなどに関する基礎研究を推進し、最新のデジタル技術を用いた研究開発成果の早期実現と鉄道システムのデジタル化を推進するのが目的。

その具体的な研究開発テーマの一例は、

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◆自律型列車制御手法…… 列車運行の自律化による地上設備の削減やドライバレス運転を実現するために、列車が転てつ機、踏切などの沿線設備を直接制御し、自律的に進路と走行パターンを設定する手法を構築。

◆車上デジタル計測による軌道・構造物の早期異常検知手法…… 輸送障害や事故の発生を防止するとともに計画的な補修・補強により保守を効率化するために、路盤陥没や橋脚の沈下・傾斜などの軌道・構造物の異常を車上測定データのみで早期に検知する手法を開発。

◆画像による架線金具の異常検出手法の機能向上…… 電車線保全業務の省力化および設備管理の効率化のために、車上に搭載したラインカメラで取得し
た画像を用いて、曲線引金具やわたり線装置などの架線金具の形状・色情報から架線金具の異常を検出する手法を開発。

◆大量データの学習による早期地震検知手法…… 早期地震検知警報の高度化をめざし、地震計で観測される様々な大量の波形データを用い、地震動と列車振動などのノイズ識別及び地震の諸元推定に対する機械学習のリアルタイムでの適用方法を提案する。

◆異常検知における機械学習プロセスの自動化…… 車両機器の振動データに機械学習を適用して異常を検知するシステムを実用化するために、正常なデータに混入した異常データを自動的に排除するなど、学習用データを自動的に抽出する手法を開発。

――― これらの研究開発の実施にあたっては、画像解析、AI、無線・ネットワークなど基盤となる技術の分野横断的な活用、関連する研究テーマ間の連携など統合的な取り組みを推進。

また、研究開発で得られた成果にもとづき、鉄道へのデジタル技術活用に関して鉄道事業者への支援を行っていく考え。

同プロジェクトは、デジタル技術による鉄道の業務革新の提案、新たな技術的課題に対応する研究開発、研究開発の統合的な実施、研究開発のノウハウ、リソースの活用と整備などを主軸に実施していく。