グランプリに選ばれたアディダス ジャパンの「速さは、ひとつじゃない。」 画像:jeki

JR東日本グループの総合広告代理店・ジェイアール東日本企画(jeki)は、「交通広告グランプリ2020」の選考作品を発表。総合スポーツ用品メーカー・アディダス ジャパンが、2020年2月末から3月初めにJR新宿駅に掲出した大型広告「速さは、ひとつじゃない。」が最優秀賞のグランプリを受賞した。

駅や車内に掲出される交通広告のコンペで、国鉄時代の1956年に始まった「秀作車内ポスター展」がルーツ。当初は東京近郊の国鉄、私鉄、都電に掲出された車内ポスターを審査。その後に始まったオール国鉄の「国鉄広告展」、新幹線広告が対象の「新幹線広告展」を統合して、1989年からの「JR東日本ポスターグランプリ」を経て、2006年にスタートしたjeki主催の「交通広告グランプリ」に引き継がれた。

今回はJR東日本のほか、つくばエクスプレス(TX)、りんかい線(東京臨海高速鉄道)、ゆりかもめ、JR貨物、そして長野県の第三セクターのしなの鉄道も合わせ、2019年4月1日から2020年3月31日までにjekiが扱った全ての交通広告を対象に応募受け付け。1527点をコピーライターの仲畑貴志さん(審査員長)、事業構想大学院大学の田中里沙学長、JR東日本の表輝幸執行役員・事業創造本部副本部長らが審査した。

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アディダス ジャパンの作品は、JR新宿駅の中央通路の両壁と床をラッピング車両の手法で埋めた。広告には日本全体で1000万人に及ぶとされる市民ランナーに向け、それぞれの努力を賞賛する形で「人それぞれに走る目的や意味があり、目指す速さは決して同じではない」のメッセージを込めた。マラソンの福士加代子選手を筆頭に、アスリートが自らの言葉で語る「速さ」が共感を呼んだ。

グランプリのアディダスジャパンのほか、各部門賞はサントリーコミュニケーションズの「BOSS/いつも通り、働く。」をはじめとする6社(者)が受賞。JR東日本賞には、スシローグローバルホールディングスの「山手線全駅出店プロジェクト」が選ばれた。

文:上里夏生