新しく全国約500駅が整備対象に

新しい基準の目標期間は、2021年4月1日からおおむね5年間。①地方部を含めたバリアフリー化の推進、②聴覚障がい(法律名以外は慣例に従いひらがな表記します)、知的・精神・発達障がいに関わるバリアフリーの見える化、③マスタープラン・基本構想の作成によるバリアフリーのまちづくり、④いわゆる「心のバリアフリー」の推進――の4項目を柱に掲げます。

2021年度からの変更点では、整備対象を従来の1日3000人以上から、「2000人以上の旅客施設」に引き下げというか拡大します。新しく加わるのは、あくまで概数ですが、鉄軌道で最大500駅前後、バスターミナル20施設、旅客船ターミナル15施設、航空旅客ターミナル9施設程度です。

令和元年度までの鉄道駅のほかバス、旅客船、航空旅客(空港)の各ターミナルを合わせた旅客施設のバリアフリー化状況(資料:国土交通省)

鉄軌道駅のホームドア・可動式ホーム柵は、全体で3000番線前後に設置します(2019年度末時点では1953番線)。このうち1日利用客が10万人を超すのは約800番線。2019年度末では半数ちょっとの447番線に整備されます。ホームドアは従来は駅数でカウントしていましたが、ホーム数というか番線数で示したのが目新しい点。ホーム両側に線路があっても、ドアは片側だけの駅もありますからね。

鉄道車両は前後両方に車いすスペース

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鉄軌道車両は、総車両数約5万3000両のうち70%をバリアフリー化します。最近の鉄道車両は、前後2ヵ所に車いす用などのフリースペースが用意されますが、これにはちょっとした裏話があります。

一昔前は相互直通運転が始まると、A社は車いすスペースが前方、B社は後方と異なっていて利用客をまごつかせる場面もあったのですが、前後2ヵ所への設置でそうした不都合は解消されました。少々の工夫でバリアフリー化が進む、モデルケースのような話だと私には思えます。