ニューノーマルに対応するJR西日本の「鉄道のある暮らし」

多様な働き方を支援するJR西日本の「鉄道のある暮らし」=イメージ=(画像:JR西日本)

旅客数だけでなく利用形態の変化を伴うニューノーマルは、鉄道業界にとっても文字通りの死活問題といえます。ほぼすべての都市鉄道事業者は何らかの対応策を打ち出していますが、私はJR西日本が2021年3月の長谷川一明社長の会見で発表した、「社会変容に対応した新しいライフスタイル『鉄道のある暮らし』の取り組み」に着目しました。

社会変容とは、まさにニューノーマルそのもの。同社は、「鉄道と各種サービスを組み合わせた取り組みを、『鉄道のある暮らし』として提案します」とします。

鉄道のある暮らしの具体例が、「ワークプレイスネットの構築」。会見資料の図をご覧いただくのが一番ですが、大阪や新大阪、岡山、広島といった拠点駅にセンターオフィス、自宅最寄り駅の郊外にシェアオフィスを設け、駅構内のブース型オフィスや、グループ資産と表現するホテル客室を活用したテレワークスペース、さらには他社と連携するワーケーション施設も活用しながら、多様な働き方のニーズをくみ取って鉄道需要に結び付けます。

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同社は2021年度、シェアオフィスとブース型オフィス各10ヵ所程度、ホテルオフィス20ヵ所程度を開設。新しい働き方のニーズを探りながら、本格展開を目指します。

ワーケーションでセミナー開催

スタートアップ企業との協業から生まれた「JR西日本×住まい・ワーケーションサブスク」=イメージ=(画像:JR西日本)

JR西日本はニューノーマル対応で、ワーケーション推進に力を入れます。2021年3月には広島市でワーケーションの可能性を探るセミナーにオンライン参加しました。

「新技術で描く新しいワークスタイル」と題したセミナーは、全国のホテルなどに定額で滞在できるサブスクリプションのサービス「HafH(ハフ)」を企画・提供する、スタートアップ(ベンチャー)企業の「Kabuk Style(カブクスタイル)」が中心になって、中国地方の企業関係者向けに開催。JR西日本からは、JR西日本イノベーションズの奥野誠取締役・シニアディレクターがパネリストを務め、グループ挙げた支援策を披露しました。

ワーケーションの可能性を話し合うオンラインセミナー(筆者撮影)

奥野取締役は、「JR西日本はグループの不動産、ホテル、駅ビルといった経営資源をフル活用。鉄道事業で蓄積したノウハウを駆使して、ワーケーションをはじめとする新しい働き方の定着に努め、活力ある街づくりを実現したい」と発言しました。