モデルはJR西日本の「鉄道のある暮らし」――テレワークやワーケーション、鉄道業界のニューノーマル対応を紐解く

2021.04.18

ニューノーマルで普及したテレワーク。緊急事態宣言時、政府の目標は〝実施率70%〟でしたが、現状は大手企業で45%程度、中小では10%強といったところです。写真は子育てテレワーク社会実験のイメージ(筆者撮影)

新型コロナによる社会変化を表すキーワードが「ニューノーマル」。日本語では「新しい常態」と訳されます。2020年からのコロナ禍では、テレワークやワーケーションに代表される新しい働き方が急速に普及し、鉄道利用にも変化が表れています。これこそが、「コロナが鉄道業界にもたらしたニューノーマル」といえるでしょう。

コロナ以前、多くの鉄道事業者にとって朝夕ラッシュ時の輸送力確保が使命でした。テレワークなどによる通勤通学客の減少により、そうした経営課題からは解放されましたが、代わりにどんな状況でも経営を維持できる、新しいビジネスモデルが求められています。本稿は〝ニューノーマルと鉄道〟をテーマに、前半は国土交通省が2021年4月6日に公表した、政策リポート「ニューノーマルに対応した都市政策」、後半は鉄道事業者の実践例として、JR西日本の「新しいライフスタイル『鉄道のある暮らし』」を取り上げます。

地方の〝疎〟を評価

ニューノーマルによる社会変化が分かる材料を探す中で見付かったのが、国交省のリポートです。正式名称は、「デジタル化の急速な進展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会の中間取りまとめ」。同省都市局が、2020年10月からの有識者検討会での議論や企業・自治体へのアンケートから、新しい街づくりの方向性を示しました。民間ヒアリングで、鉄道業界からは小田急電鉄、京王電鉄、京阪ホールディングスの3社が回答しました。

テレワークやワーケーションの普及を受けた社会変化では、「地方の疎の評価」のフレーズに目が止まりました。従来、疎の文字は熟語の「過疎」として使われ、余りいい印象を与えませんでした。ところが、ニューノーマルでは過を除いた「疎」が評価されるというのです。考えてみれば「密」の反対語が「疎」。新しい時代には、〝疎の街づくり〟が求められるのでしょうか。

長く続いた人口の都心回帰や職住近接志向は、鉄道の利用にも大きな影響を与えてきました。ところがニューノーマルでは、「通勤には多少不便でも、自然豊かな地域が好まれる」の変化が現れ、実際に不動産会社などの住みたい街ランキングでも、神奈川県本厚木(駅)が首都圏トップにランクされて、かなりの話題を呼びました。

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