ポストコロナで浮上した鉄道の時間帯別運賃

ここから鉄道に絞って、第2次計画のポイントを解説します。ニュースサイトなどで話題になっているのが、「鉄道の時間帯別運賃」。第2次計画には、「誰もが、より快適で容易に移動できる、生活に必要不可欠な交通の維持・確保」の実践策として、次のようなフレーズあります。

「ポストコロナ時代の働き方の変化や、公共交通機関の利用実態を見据え、混雑緩和など交通サービスのあるべき姿を検討する。特に大都市部の通勤鉄道では、混雑緩和を促すため、時差通勤などの分散乗車を一層深めるほか、変動運賃制(ダイナミックプラシング)などの新たな対策について、効果や課題を十分検討する」(大意)。

ダイナミックプライシングは、航空運賃で定着しています。同じ路線でも、早朝や深夜のように利用しにくい便は運賃を安く、逆に日中時間帯の便は高く設定します。すると時間にシビアなビジネス客は日中便、余裕のある観光客は早朝や深夜便に搭乗し、全体でバランスが取れます。これを鉄道にも応用しようというのが、国の考え方です。

商売の常道に反する?

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とにもかくにも国のお墨付きを得たわけで、一部事業者は実施方法を検討しているとも報道されます。ラッシュ時間帯は運賃を高く、それ以外は安くして全体をならす。単純には「グッジョブ!?」と思うかもしれませんが、そうは問屋が卸さない。

 皆さんが、都心に通勤するサラリーマンならどう思いますか。混雑する、座れない、サービスがいいといえない列車に乗せられて、おまけに運賃は高い。商売の常道なら、やることは逆なのかもしれませんね。本章に鉄道事業者の皆さんへの悪意はありません。ご容赦願います。