社会資本整備重点計画には鉄道ネットワークやホームドアの整備

鉄道輸送の快適性向上につながる新幹線のフリースペース=イメージ=(画像:国土交通省)

社会資本整備重点計画は、名前の通り社会資本、つまりインフラ整備についての国の基本方針です。社会資本整備重点計画法という、そのまんまの名前の法律に基づくマスタープランで、2003年度に初めて策定され、今回は第5次、交通政策基本計画より長い歴史を持ちます。計画期間は、交通と同じく2021年度からの5年間です。

鉄道は線路や駅舎、車両のハードはインフラ、事業者が運行する列車(正確にはダイヤなどだと思いますが)はソフトと区分けされます。しかし、改定された重点計画をみれば、「新たな人の流れや地域間交流促進のための基盤としての鉄道による交通ネットワーク整備」、「災害時の交通機能確保に向けての地下駅の浸水防止対策」、「安全な移動・生活空間確保のためのホームドア整備」などと、中身は交通政策推進基本計画と大差ありません。

裏を探れば、国交省は2001年の省庁再編で運輸省と建設省が統合されて発足したのですが、今も国土と交通の担当セクションには、仕切りがあったりします。そもそも交通政策基本計画と社会資本整備重点計画は見ている人が違うわけで、2つの計画が車の両輪になって、便利で利用しやすい交通や鉄道が実現されることに期待しましょう。

総合物流施策大綱では貨客混載を推進

鉄道で始まった貨客混載は乗合バス、貸切バス、タクシー、自家用有償旅客運送と輸送手段を多様化させています。(資料:国土交通省)

最後に、「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」をワンポイント。文字通り物流分野の基本方針で、初めて策定されたのは1997年度。20年を超す歴史を持ち、今回の大綱が第7次です。

物流のマスタープランということで想像できるように、鉄道では環境特性に優れた貨物鉄道へのモーダルシフトなどが盛り込まれています。本サイトのもう一つの注目点は、鉄道系ニュースにも頻繁に登場する貨客混載です。

改訂版の大綱には、「コロナ感染症の拡大に伴う新しい生活様式への対応で、新幹線や高速バスを活用した地方の農水産品の貨物輸送サービスなど多様な交通モードによる貨客混載も登場している。このような取り組みは旅客輸送網の維持につながるだけでなく、物流効率化にも資することから、適切な展開を図る(大意)」と記載。国レベルでも、貨客混載を加速させる方針が示されました。

文:上里夏生