開業91周年、本州最北の地域鉄道が津鉄

自然林を走る津鉄の気動車

ラストは津鉄こと津軽鉄道。こちらも観光鉄道としての知名度は全国区です。「津軽半島北部の開発」や「津軽半島環状鉄道の実現」を主な目的に1930年11月、津軽五所川原―津軽中里間(20.7キロ)の全線が開業しました。

ちなみに、今は地域鉄道トップの顔が身についた澤田社長ですが、前職は世界を舞台に活躍した商社マン。定年後に帰郷した青森県五所川原市で、ビジネスのキャリアを買われ、経営危機にひんした津鉄の再建を託されました。

コロナの影響では、2021年の利用客は2019年の半分程度。やはりインバウンド減の影響が大きいようです。澤田社長は、「コロナの現在は、誘客のための営業も難しい状況で、少しでも現金収入を得るための自助努力に力を入れたい」と発言しました。

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具体例では、リンゴ産地らしい「りんごマスク」を駅売店で販売。ホームページでの〝仮想乗車〟による寄付募集、疫病退散「アマビエポストカード付き1日フリ―乗車券」、コロナ後に沿線を訪れてもらう「未来乗車券(津鉄21型ペーパークラフト2両付き)」と、あの手この手の増収作戦に乗り出します。

春夏秋冬、それぞれの魅力が来訪者を迎える津鉄の四季

地域鉄道相互の交流では、トキ鉄の鳥塚社長は津鉄ファンを自認。自身のホームページで、ストーブ列車などの魅力を発信し続けます。澤田社長も大いに感謝していました。

「鉄道があってこその地域」

各社の発表が一巡した後は、3社長と矢ヶ﨑教授がフリートーク。各社長からは、「利用の少ない鉄道より、バスの方が効率的という声も聞こえてくるが、やはり鉄道あってこその地域だという認識を、関係者は共有したい。鉄道が走っているからこそ、人々は沿線を訪れる。今はコロナで厳しい時期にだが、力を合わせながらがんばりたい」の思いが語られました。

文:上里夏生
(画像は全て「地域鉄道フォーラム2021」の発表を筆者がキャプチャしたものです)