JR東、東急、京急が3社競演 プロジェクト目白押しの羽田空港鉄道アクセス 工事着手などに向け準備着々【コラム】
東急が京急に乗り入れる!? 「新空港線の新設」
羽田空港の鉄道アクセスには、「新空港線の新設」もあります。通称「蒲蒲線」で、新空港線がつなぐ東急蒲田(東急の正式駅名は蒲田です)と京急蒲田からのごろ合わせ。2000年ごろから構想が出ている、東急多摩川線を延伸して京急空港線に接続させるプロジェクトで、地元の大田区が中心になって旗を振ってきました。
ルートは、東急東横線多摩川(駅名)から多摩川線に直通運転。矢口渡から地下に入り、JR東海道線をくぐって京急蒲田か大鳥居から空港線に乗り入れます。蒲田駅東側には大田区役所がありますが、庁舎地下には鉄道トンネルのスペースが確保済みという〝都市伝説〟もあります。
最大の課題は、京急が1435ミリの標準軌、東急が1067ミリの狭軌と線路幅が違う点。実現には、京急の3線軌条化または車輪幅を変えられるフリーゲージトレインの技術開発が必要で、相当なハードルがあります。
「新空港線の整備主体設立及び関連事業で12億円弱を予算化」(大田区)
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大田区は2022年度、「新空港線の整備主体設立及び関連事業」として11億8574万8000円を予算化しました。
区の資料には、整備(鉄道建設)手法が記載されます。新空港線は、「都市鉄道等利便増進法」に基づき営業主体(鉄道事業者)と整備主体(第三セクター)に分ける、上下分離方式を採用します。
2005年に施行された都市鉄道等利部増進法(略称はないのでフルネームで書きます)は、既存の鉄道路線をつないだり、大規模駅改良をすることで、文字通り都市鉄道の利便性向上を促進する目的の法令。適用第一号は神奈川東部方面線(相鉄・JR直通線と相鉄・東急直通線)です。
大田区は予算のうち10億円は、事業を円滑に進めるための基金として積立。関連事業では、新空港線の事業内容を区民ら理解にしてもらう広報・啓発活動を実施します。
羽田空港国内線ターミナル駅に引上線新設(京急)
鉄道プロジェクト最後は、「京急羽田空港国内線ターミナル引上線の新設」。京急の引上線は、空港線終点の国内線ターミナル駅の先に線路を延ばし、到着した電車を留置できるようにします。
具体的な動きはこれからですが、引上線が完成すれば列車運行に弾力性が生まれ、航空利用客の利便性向上につながるはすです。
自動運転バスなど未来の交通を発信(「スマートシティEXPO2022春」)
鉄道プロジェクトに続いて、羽田の話題をワンポイント。羽田空港隣接地の「HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)」で、2022年4月22~24日に開かれた「スマートシティEXPO2022春」をご報告します。
羽田イノベーションシティには鉄道事業者でJR東日本、京急、東京モノレールが参画します。スマートシティEXPOでは、鉄道関係イベントはありませんでしたが、ソフトバンクグループのBOLDLY(ボードリー。企業名)が技術開発中の自動運転バスをデモンストレーションするなど、未来の交通が情報発信されました。
記事:上里夏生