羽田・成田空港を結ぶ「リニア新線」構想

気になる1位は、羽田空港と成田空港を結ぶ「羽田・成田リニア新線構想」でした。

世界でもトップクラスの旅客数・貨物取扱数を誇る羽田・成田の両空港ですが、東アジア諸国で大型空港の整備が進んだことから国際競争力は相対的に低下しました。しかしながら、首都圏に十分な空港容量と乗り継ぎ機能を有する空港を新設するのは困難な状況です。

そこで成田・羽田両空港を一体的に運用することで、国際線・国内線の乗継機能強化を図るという構想が浮上しました。平たく言えば、両空港間の移動にかかる所要時間を抑えることで、同じ空港内の「国際線⇔国内線」ターミナル間を移動するような感覚で、2つの空港を利用できるようにするというプランです。

検討された案の一つが羽田・成田の空港をリニアモーターカーで結ぶというもの。所要時間は約15分。試算では建設費は1兆3,000億円、経済波及効果は2兆9,000億円に上ります。

しかしながら神奈川県が2009年に発表した報告書では、年間の運営費は約1,200億円と試算されています。単純計算で片道1万円としても年間1200万人の乗客が必要になる計算ですが、両空港間の移動にそんな需要はなく、計画は具体化されていません。

アンケートでは次のような声が寄せられています。

「乗り継ぎが楽になりそう」
「成田空港が使いやすくなり、羽田空港の混雑緩和につながる」
「インバウンド需要もあると思う」

2023年現在、両空港間を鉄道のみで移動しようとした場合、スカイライナーなどを利用しても1時間以上かかります。移動手段としては直通のリムジンバスもありますが、道路の混雑状況により到着が遅れる場合があり、早くて快適ではあるものの定時性では鉄道に劣ります。採算性を考慮すると現実味の薄い案ですが、もし実現したら夢のある話……かも?

全体の得票数ランキングはこちら 選定基準も聞いてみた

「実現して欲しかった未成線ランキング(関東編)」の全体順位は次の表のとおりです。

選定基準についてLIFULLの担当者に確認したところ、同社では本アンケートの「関東編」と「関西編」を実施するにあたり、それぞれ25以上の候補をピックアップした上で、次の3つの選定基準の内、1つでも当てはまるものを選んだということでした。

①鉄道事業法・地方鉄道法・私設鉄道法・軽便鉄道法による許可・免許・認可および軌道法による特許が取得されたもののすでに失効している路線

②交通政策審議会(運輸政策審議会を含む)および近畿地方交通審議会によって1度以上答申されたものの、最新の答申に記載されていない路線

③自治体から構想が公表されたもの実現していない路線

羽田・成田リニア新線などは③に該当します。2016年の交通政策審議会の答申でも言及されておらず、「未成線」とするには根拠が乏しいと感じられるかもしれませんが、「実現すれば夢のある路線」という意味では他の路線に決して引けを取らないでしょう。

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