「移動の選択肢増やす」(中村JR西日本副社長)

JR西日本がバスの自動運転を志向する理由を考えます。会見では、記者から「地方ローカル線問題とバス自動運転は関連するのか」の質問が出ましたが、中村副社長は「そうした一面もあるが、一番の目的は移動の選択肢を増やすこと」と答えました。

JR西日本が考える自動運転バスは、こんなイメージです。始発の鉄道駅から中継点までは2~3台のバスが連続して走り(2台目以降は無人運転です)、そこからそれぞれドライバーが乗務して最終目的地に向かいます。

もう一つの着眼点は、社会問題化しているドライバー不足への対応です。関西エリアでは、ドライバー不足や経営悪化を理由に路線バス事業廃止を打ち出すバス会社が現れ、議論を呼んでいます。

樹木に例えれば、鉄道は幹で、バスは枝です。バス自動運転は鉄道とバスが地域公共交通の維持・再生で、WIMWINの関係を築くための重要なツールといえるでしょう。

2020年代半ばに「社会実装」

ラストは、これからのスケジュール。東広島市の実証実験は2023年11月~2024年2月(予定)で、前半を「準備走行期間」、後半を「実走行期間」に分けます。

自動運転の時間帯は朝夕ラッシュを避けた、おおむね9時45分~16時30分。2023年内の準備期間は、自動運転するものの乗客はなし、平日だけの運転です。続く実走行期間は、一般市民を対象にした試乗会を開催。土日曜日と祝日にも自動運転します。

実用化のめどについて中村副社長は、「2020年代半ばをめどに、自動運転・隊列走行BRT」の社会実装(実用化)に向けた取り組みを進める」と述べました。

会見を終えて握手する中村JR西日本副社長(左)と宮川ソフトバンク社長(右)(画像:ソフトバンク)

記事:上里夏生

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