伊藤美由紀 小樽駅長(左)が齊藤裕司 上野駅長(左)へパンダを手渡す「里帰り」の瞬間

台東区のJR上野駅で1日、JR小樽駅と共同で記念イベントが行われ、34年前に両駅の友好の象徴として贈呈されたパンダのぬいぐるみが1日限りの里帰りを果たした。

開業はJR上野駅が1883年、JR小樽駅が20年後の1903年で、2023年はそれぞれ開業140周年と120周年のメモリアルイヤーにあたる。両駅は駅舎が似ていること、青函トンネル開業で1本のレールで結ばれたことから1989年に姉妹駅となった。提携調印はJR小樽駅のホームで行われたという。パンダのぬいぐるみはその際に贈られたものだ。

JR小樽駅長(第14代目)の伊藤美由紀さんは、トークセッションの中で「寝台特急『北斗星』に乗って、JR上野駅長をはじめJR東日本の方々がおおぜいJR小樽駅までいらっしゃいました」と当時の思い出を語った。「北斗星」は北の玄関口・JR上野駅にとっても思い出深い列車である。JR上野駅長(第42代目)の齊藤裕司さんは、「(『北斗星』は)新幹線が開業した2015年に幕を閉じていたんですが、非常に皆様から愛された寝台列車でございました。多くの方々が『北斗星』を使って北海道へ渡っていったと記憶しております」という。

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パンダは普段、JR小樽駅の昔の駅長室に保管されている。1日限りの里帰りを終えたのちは、再び小樽に帰る予定だ。

イベントでは他にもJR上野駅とJR小樽駅の共通点として、石川啄木の義理の兄である山本千三郎がJR小樽駅(当時は中央小樽駅)の駅長を務めていたことが紹介された。JR上野駅の15番線やJR小樽駅のそばにも、石川啄木の歌碑がある。遠く離れた2つの駅の、意外な接点だ。

イベントでは姉妹駅締結調印の記念品も展示された

小樽は夏の観光が有名だが、「雪あかりの路」など冬のイベントにも力を入れる。当日はそうした冬のイベントの初日ということもあり、小樽観光協会によるPRなども行われた。

伊藤さんによれば、小樽は「全体的に小ぶりながら昔ながらの昭和レトロが今も実際に生きているまち」だという。歴史を重ねつつも、飾り立てられたものでない、生きた昭和が続くまちの魅力を感じてほしい。

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