京急電鉄は、泉岳寺駅から新馬場駅までの高架化事業に伴い、新たに整備される北品川駅の駅舎デザイン案を公表しました。施設コンセプトは「まちとまち、人と人をつなぐ駅。」。駅が高架化されることで、線路で分断されていた街の往来がつながり、新しい空間が創出されます。新しい駅舎は、旧東海道の街並みと調和し、宿場町にふさわしいデザインを継承することを目指しています。このデザイン案に対する意見募集が、9月30日まで行われます。

リニア開業を見据え進む品川駅周辺の再開発

現在、品川駅の北側ではJR東日本が「高輪ゲートウェイシティ」を開発中で、品川駅でも京急品川駅の地平化や国道上空デッキの設置が進められ、複数街区での複合ビルの建設などが行われるなど、リニア中央新幹線の開業を見据え品川エリア全体で大規模な都市整備が進んでいます。

品川駅周辺で進む大規模な再開発事業

品川駅の南側に位置する京急の北品川駅は、港区と品川区の区境にあたりますが、この周辺地域では泉岳寺〜新馬場間の連続立体交差事業に伴う工事が進められています。京急線の高架化によって、区間内の3か所の踏切が廃止され、交通の安全性と利便性の向上が期待されています。

現在の北品川駅 (写真:PIXTA)

旧東海道の街並みとの整合

新しい北品川駅の駅舎は、海側(旧東海道側)と山側(国道15号側)を計画し、高架化により東西の往来が生まれ、街と街、人と人をつなぐ拠点を目指すとしています。
駅はホーム延長が約113メートル、幅は2メートルから5メートルとなる予定で、都市計画道路の整備と連動した計画が示されています。さらに、東側の品川浦では大規模再開発が進められ、北・西・南の3地区で複合開発が検討されています。

街と調和する「宿場町」デザイン

品川区景観計画 概要版(2024年5月版)より

北品川駅を巡り、地元からは「旧東海道に沿って走る京急の景色を残したい」という声や、品川駅から旧東海道へと続く玄関口にふさわしい姿を望む意見が寄せられているといいます。
「周辺開発とも調和しつつ、旧東海道のしつらえを残した宿場町に相応しい駅舎」「旧東海道をはじめとする日本文化を外国人が感じられる駅にしたい」「旧東海道品川宿の歴史・文化を未来へと伝承したい」といった意見もあったということです。

海側(旧東海道側)
山側(国道15号側)

デザインの特徴は、夜の灯りをともす格子高窓、視線や日差しを調整する格子、光を取り込む障子などを盛り込んだといいます。さらに開放感を生むガラス開口なども取り入れられているということです。

北品川駅 駅舎デザインへのご意見、応募に関して

北品川駅舎デザインへの意見の応募は、専用用紙(Webでダウンロード)に記入のうえ、郵送、ファクス、電子メールで受付をするそうです。詳しくは、京急電鉄(北品川駅 駅舎デザイン(案)ご意見募集)Webページにてご確認ください。募集期間は、2025年9月1日(月)~9月30日(火)までです。

京急北品川駅の新しい駅舎は、単なる交通の要所ではなく、歴史と未来をつなぐ新しい街のシンボルとなるでしょう。旧東海道の街並みに調和するデザインは、この地域が持つ歴史的価値を次世代へと伝える役割を担います。泉岳寺〜新馬場間の連続立体交差事業によって、街の分断が解消され、品川エリア全体が一体となって発展していくことが期待されます。
(写真:京急電鉄、PIXTA)

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