駅弁を登録無形文化財に JR西日本が鉄道文化振興

昔も今も、列車の旅で変わらない楽しみの一つが駅弁。鉄道史をひも解けば、日本最初の駅弁は新橋~横浜開業(1872年)から13年後の1885年、当時の日本鉄道宇都宮駅で売り出された「にぎり飯2個とたくあん2切れ」だったとか。それから140年、最近は駅コンビニやエキナカ飲食店に押され気味の駅弁の復活に、JR西日本が乗り出す。
2025年6月に新しい経営トップに就いた倉坂昇治社長が、同9月17日開催の初めての東京会見で「鉄道文化振興の取り組み」として明らかにした。一般には関連事業・付帯事業でくくられる、駅弁の意義や魅力を鉄道文化として全国ベースで発信。近未来には、駅弁の「登録無形文化財」としての登録を目指す。

JR西日本が2025年度に乗り出した、駅弁を郷土料理と位置付けて調査研究や価値の再評価に乗り出す活動がきっかけ。もともとはJR広島駅を中心に事業展開する広島駅弁当が、2024年度に展開した食の文化振興策をJR西日本が継承した。JR西日本の駅弁再評価は、文化庁の「食文化ストーリー創出・発信モデル事業」に採択されている。
啓発活動では、10月5日に京都市の京都鉄道博物館で「駅弁シンポジウム」を開催。JRグループ各社などに協力を呼びかけ、駅弁再評価のうねりを引き起こす。
テーマは「駅弁のいまむかし、そしてこれからについて考える」。同館学芸員の研究報告や、関西駅弁界の名門・まねき食品(兵庫県姫路市)の竹田典高社長の基調講演で駅弁の文化的価値を再考する。
定員70人、参加無料(別途入館料が必要)。さいたま市の鉄道博物館でもオンライン中継する。
今後は鉄道文化施設や駅弁イベントで情報を発信。鉄道博物館、京都鉄道博物館で公開講座、北海道鉄道技術館(札幌市)、リニア・鉄道館(名古屋市)、四国鉄道文化館(愛媛県西条市)、九州鉄道記念館(北九州市)でのパネル展示を予定する。
記事:上里夏生
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