さらば古豪よ……小田急箱根「100形電車」が2028年1月末運行終了(神奈川県箱根町)

また一つ、古豪車両が本線運行から引退する。箱根登山電車のモハ100形。小田急箱根は2025年10月1日、モハ104号、106号、108号の3両について、「2028年1月末で運行終了する」と発表した。
スペックは別表の通りで、いずれも戦前生まれ。3両とも戦後に車体を新調したが、更新から数えても70年前後を経過する。

最近、観光列車仕様の車両が増える箱根登山電車にあって、いかにもクラシックな車両然としたモハ100形は異色。それでも3両への乗車を楽しみに、箱根を訪れる鉄道ファンは尽きない。
歴史を簡単にたどれば、モハ104とモハ106は1919年の箱根湯本~強羅全通時にチキ1形、モハ108は時代が昭和に変わった1927年にチキ2形として誕生。戦後、木製車体を鋼体化したのにあわせて現在の車両形式に変更された。
その後も、固定編成化や台車動力装置新製、客室インテリアの更新など時代に合わせた改造を重たが、ペンキ塗りの内装や昔ながらの荷棚デザイン、下から大きく開く客室窓など昭和の特徴ある仕様を今に伝える。
現在は104+106+108号の3両1編成が運行を続け、国内で定期運行する普通鉄道電車では最古参級だ。
しかし、経年で修繕や部品調達が困難になったことを踏まえて小田急箱根は代替車両の新製を計画。100形の引退を決めた。
同社は2025年10月11日、完全引退発表記念の「オリジナル鉄道コレクション」を864個限定で発売。今後もイベントや記念商品で、古豪車両を顕彰する。
小田急箱根は、「歴史的な車両の引退までの時間を楽しんでいただれば……」と話す。

記事:上里夏生
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