813系イメージ

JR九州はこのほど、自動列車運転支援装置(GOA2.0自動運転)を2025年12月に本格導入し、さらに2027年末までにGOA2.5自動運転区間の拡大を目指すと発表しました。自動運転の対象となるのは、鹿児島本線と日豊本線の一部区間です。この記事では、持続可能な交通ネットワークの維持と将来の労働人口減少へ対応するためにJR九州が推進する、鉄道自動運転の具体的な導入区間と今後の展望について紹介します。

GOA2.0自動運転を鹿児島本線・日豊本線に本格導入

JR九州が導入するGOA2.0(自動列車運転支援装置)自動運転。対象区間は鹿児島本線の「門司港駅~荒尾駅」と日豊本線の「小倉駅~宇佐駅」。対象車両は813系と817系です。
このGOA2.0自動運転技術は、2024年3月から鹿児島本線「折尾駅~二日市駅間」で実証運転が行われてきました。実証運転では、70,300kmの走行実績と31,700回の駅停車で安定的な運行と停止精度が確認されています。

GOA2.5自動運転も2027年末までに区間拡大を目標

FS-ATO への DB 搭載による地上設備投資最小化

現在、香椎線全線に導入されているGOA2.5(自動列車運転装置)自動運転についても、2027年末までを目標として区間を拡大。対象区間は鹿児島本線「門司港駅~小倉駅」と、日豊本線「小倉駅~宇佐駅」。対象車両は813系です。

GOA2.0 自動運転を活用した GOA2.5 導入までの期間短縮

GOA2.5自動運転の導入においては、GOA2.0の技術をフィードバックすることで、香椎線と同じスキームで整備した場合と比較して、地上子(列車の安全運行を補助する装置)の数を3分の1に、地上設備投資額を4分の1に最小化できるとしています。また、GOA2.0自動運転の実績により、検証試運転の期間短縮や、走行試験開始から実現までの期間を2年半に短縮する目標を掲げるなど、導入期間の短縮が見込まれています。

自動運転技術導入の背景と今後の展望

JR九州が自動運転を推進する背景には、少子高齢化や人口減少が進む中で交通ネットワークを長期的に維持するため、安全性を維持・向上しながら業務運営の効率化を図るという目的があります。また、将来の労働人口減少の中で必要な人材を確保するため、作業の自動化や機械化が推進されています 。

自動運転の取り組みは、2019年12月の香椎線での走行試験報道公開から始まり、2024年3月には香椎線全線でGOA2.5自動運転が導入されています。今回のGOA2.0本格導入とGOA2.5区間拡大は、中期経営計画2025-2027で掲げられている「サステナブルなモビリティサービスの実現」に向けた取り組みの一環です。

今回、GOA2.0が主要幹線に本格導入され、2027年末にはGOA2.5の区間拡大も見込まれています。九州の鉄道ネットワークが今後どのように進化していくのか、注目していきましょう。

(トップ写真:PIXTA 本文内画像:JR九州)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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