しなの鉄道115系 (写真:PIXTA)

新幹線なら一瞬で通り過ぎる軽井沢〜長野間ですが、在来線「しなの鉄道」を使えば、浅間山や千曲川の絶景、途中下車の街歩きをのんびり楽しめる旅に変わります。
長野県の東信・北信を走るしなの鉄道は、軽井沢〜篠ノ井65.1kmの「しなの鉄道線」と、長野〜妙高高原37.3kmの「北しなの線」を持つ第三セクター鉄道で、全27駅。かつての信越本線を引き継いだ路線です。
軽井沢から長野までの運賃は1,680円ですが、2026年3月からは全てデジタルチケットに切り替わったお得なきっぷが色々と用意されています。この記事では、しなの鉄道の路線と区間、主要区間の運賃、観光列車「ろくもん」、115系がいつまで走るのか、お得なきっぷの選び方、沿線の見どころまでをまとめて解説します。

しなの鉄道とはどんな鉄道? 信越本線を引き継いだ第三セクター

しなの鉄道は、新幹線の開業にともなってJRから切り離された在来線を引き継いで走る、長野県の第三セクター鉄道です。設立は1996年5月1日で、本社は上田市にあります。

路線は二段構えで増えました。北陸新幹線の開業にあわせて軽井沢〜篠ノ井が移管され、2015年3月14日には長野〜金沢の延伸にあわせて長野〜妙高高原が「北しなの線」として開業。「並行する在来線の経営はJRから分離する」というルールによるもので、長野県と沿線市町村が存続を決め、しなの鉄道が2012年に経営を引き受けました。地元が「残す」と決めた路線です。

車両はJR時代から引き継いだ115系と、新型のSR1系。「115系がいつまで走るのか」は関心の高いところですが、2024年1月発表の「プロジェクト115」により2028年までの完全引退が決まっており、2026年3月14日のダイヤ改正でS1編成(しなの鉄道色)・S9編成(横須賀色)が引退。残るは4編成となりました(2026年8月時点)。

しなの鉄道のSR1系(300番台+100番台)
しなの鉄道のSR1系(300番台+100番台) (写真:PIXTA)

路線と区間 ~ しなの鉄道線と北しなの線、路線図で見る全27駅

路線は2つ、合計102.4km、27駅(共同使用駅3駅を含む)です。1本につながった路線ではなく、長野を境に南北で性格が分かれています。

しなの鉄道線(軽井沢〜篠ノ井/65.1km・19駅)
軽井沢/中軽井沢/信濃追分/御代田/平原/小諸/滋野/田中/大屋/信濃国分寺/上田/西上田/テクノさかき/坂城/戸倉/千曲/屋代/屋代高校前/篠ノ井

北しなの線(長野〜妙高高原/37.3km・8駅)
長野/北長野/三才/豊野/牟礼/古間/黒姫/妙高高原

しなの鉄道の路線図。しなの鉄道線(軽井沢〜篠ノ井)と北しなの線(長野〜妙高高原)の全27駅

つまずきやすいのが終点の扱いです。路線としては篠ノ井までですが、列車は篠ノ井からJRの線路に乗り入れて長野まで走ります。長野まで行けるのに、しなの鉄道線ではない区間がある。フリーきっぷの範囲もここで変わります。

浅間山を望みながら千曲川に沿って下り、北へ抜けると妙高の山あいに入ります。

しなの鉄道の運賃はいくら? 主要区間の一覧と新幹線との違い

軽井沢から長野までは1,680円、上田から長野までは800円です。(運賃は2026年3月14日改定の料金)

【主要区間の運賃】
・軽井沢 ~ 小諸:500円(IC運賃495円)
・軽井沢 ~ 上田:900円(IC運賃891円)
・軽井沢 ~ 篠ノ井:1,470円
・軽井沢 ~ 長野:1,680円(IC運賃1,672円)
・小諸 ~ 上田:410円(IC運賃407円)
・上田 ~ 長野:800円(IC運賃792円)
・篠ノ井 ~ 長野:210円
・長野 ~ 妙高高原:850円(IC運賃847円)
※ 2026年3月14日現在の旅客運賃表より。大人運賃。
(参考)
軽井沢 ~ 長野を新幹線利用:3,280円(自由席利用)、3,810円(指定席利用)、上田 ~ 長野を新幹線利用:1,500円(自由席利用)、3,020円(指定席利用)

新幹線との違いは料金の組み立て方です。北陸新幹線なら乗車券に特急料金が加わりますが、しなの鉄道は運賃だけで済みます。時間を買うのが新幹線、途中の町での楽しみを買うのがしなの鉄道といったイメージです。

所要時間は改正のたびに変わるので、公式の時刻表で確認してください。

観光列車「ろくもん」で行く信州の旅 ・プランと料金

「ろくもん」は、軽井沢と長野のあいだを食事つきで2時間あまりかけて走る観光列車です。 上田市にゆかりのある武将「真田一族」の家紋「六文銭」(ろくもんせん)から名付けられました。水戸岡鋭治氏がデザインした車両の配色は、真田信繁(幸村)が大坂冬の陣などで用いた「赤備え」(甲冑や武具を赤で統一すること)をイメージした濃い赤を基本色としているそうです。

観光列車 ろくもん
しなの鉄道の観光列車「ろくもん」(写真:PIXTA)

執筆時点で、食事つきプランは、2026年9月末までが洋食コース(軽井沢→長野)、和食コース(長野→軽井沢)、姨捨・聖高原を回る「姨捨ナイトクルーズ」の3本立て。10月からはイタリアン2コースと和食系2コース、月1回のナイトクルーズに組み替えられます。料金は2026年10月2日(金)の利用分から改定され、洋食コース・和食コースが各24,000円、姨捨ナイトクルーズが30,000円(税込)になります。食事と飲み物を信州産の旬の食材中心に見直し、軽井沢T-SITE内のラウンジ利用券も付きます。
食事は要らないという人には、乗車券に指定席券を足すだけのプランもあります。指定席料金は大人1,020円・小児510円で、軽井沢〜長野の任意の区間に使えます。全席指定の1号車24席のみで、発売は1か月前10時から前日まで。弁当の持ち込みは可、定期券との併用は不可です。

食事つきプランと姨捨ナイトクルーズの予約は乗車月の2か月前の1日から、ろくもん予約センター(026-276-0069)、Web予約、軽井沢・小諸・上田・屋代・長野の各駅窓口、JTBと近畿日本ツーリストで申し込めます。

お得なきっぷはどれを選べばいい? フリーきっぷ一覧

2026年3月14日からは、お得なきっぷがすべてデジタルチケットになりました。購入は専用のWebサイトで、支払いはクレジットカードのみです。(駅窓口での発売は3月13日で終了していますので、ご注意ください。)

【主要なお得きっぷ】
・しなの鉄道線フリーきっぷ(平日用):大人2,300円(こども1,150円)/軽井沢〜篠ノ井/平日の当日限り
・しなの鉄道線フリーきっぷ(休日用):大人2,000円(こども1,000円)/軽井沢〜篠ノ井/土休日・12/30〜1/3の当日限り
・北しなの線フリーきっぷ(平日用):大人1,400円(こども700円)/長野〜妙高高原/平日の当日限り
・北しなの線フリーきっぷ(休日用):大人1,100円(こども550円)/長野〜妙高高原/土休日・12/30〜1/3の当日限り
・軽井沢・別所温泉フリーきっぷ:大人1,880円(こども940円)/軽井沢〜上田+上田電鉄別所線/当日限り
・軽井沢フリーパス(1日券):大人2,500円(こども1,250円)/軽井沢〜小諸+指定区間のバス/当日限り
・軽井沢フリーパス(2日券):大人3,600円(こども1,800円)/同上/当日と翌日の2日間

このほか、田中駅前の温泉施設の入館料とセットの「ゆぅふるtanakaフリーきっぷ」(軽井沢〜田中1,850円)や、70歳以上限定の「シルバー乗車券」、毎週水曜限定の「ノー・マイカー・デー乗車券」、訪日外国人向けの「SHINANO RAILWAY BANZAI 2-DAY PASS」(3,000円)も選べます。

これらのきっぷの選び方は単純です。軽井沢から篠ノ井方面へ往復するなら片道1,470円なので、休日用2,000円のフリーきっぷがはっきり得になります。ただしフリーエリアは篠ノ井までで長野は含まれず、篠ノ井〜長野の210円が別に必要です。上田から別所温泉へ延ばすなら軽井沢・別所温泉フリーきっぷ1,880円、軽井沢周辺だけなら軽井沢フリーパスが便利です。

沿線の見どころ・途中下車で行ける場所

この路線には、途中下車をして駅から歩ける観光地が数多くあるのが強みです。

小諸城址・懐古園(小諸駅から徒歩3分)
日本で唯一といわれる「穴城」の城址で、園内には美術館、動物園、児童遊園地があります。

上田城跡公園(上田駅から徒歩12分)
天正11年(1583年)に真田昌幸が築いた城の跡。徳川の大軍を二度撃退した城として知られ、春の千本桜と秋の紅葉が見ものです。

桜満開の上田城址公園
桜の時期の「上田城跡公園」(写真:PIXTA)

戸倉上山田温泉(戸倉駅からバス・タクシー)
開湯120年を超える信州屈指の「美肌の湯」。七つの外湯と無料の足湯があります。駅から温泉街までは距離があるので、バスかタクシーで向かいます。

別所温泉(上田駅で上田電鉄別所線に乗り換え)
上田から上田電鉄で向かう温泉地。軽井沢・別所温泉フリーきっぷがこの区間をカバーします。

冬の別所温泉・長野県上田市(写真:PIXTA)

しなの鉄道へのアクセスと乗り継ぎ ~ 青春18きっぷは使える?

首都圏からは、北陸新幹線で軽井沢・上田・長野のいずれかに入って乗り換えるのが基本です。3駅とも新幹線と接続しているので、どこから乗り始めても、どこで抜けても構いません。松本方面へは篠ノ井で篠ノ井線に接続し(長野〜松本1,230円)、北へ抜けるなら妙高高原からえちごトキめき鉄道で直江津へ出られます(長野〜直江津1,920円)。

しなの鉄道では、「青春18きっぷ」は利用ができませんのでご注意ください。青春18きっぷはJR線用のきっぷで、しなの鉄道はJRから経営分離された会社ですので、別に運賃が必要になると考えてください。軽井沢から長野まで1,680円、乗り降りするなら休日用のフリーきっぷ2,000円として、しなの鉄道の旅を組み立ててください。

新幹線のスピード感も魅力的ですが、のんびりと沿線の歴史や景色に触れられるのが「しなの鉄道」の醍醐味です。ぜひお得なデジタルきっぷを手に入れて、信州の魅力を再発見する途中下車の旅へ出かけてみませんか?

※記載の運賃・料金・きっぷは2026年8月現在の情報です。運賃改定やダイヤ改正、きっぷの内容変更があるため、おでかけの前に公式サイトで最新の情報をご確認ください。

鉄道チャンネル編集部
(旅とおでかけ!鉄道チャンネル)

 

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