工期延伸で事業費はどのくらい増加する?

工期が延びれば、当然、事業費にも影響します。

現計画の事業費は2326億円。このうち都市側の負担が2129億円、鉄道側となる阪急電鉄の負担が197億円です。

今回、新たに見込まれる増額は約355億円です。

最も大きいのは物価高騰で254億円。20年から26年までの資材費や人件費などの上昇を反映します。

大阪市は以前の計画で、25年度以降の工事費について一定の前提を置いていました。しかし実際には上昇が続き、直近5年間の平均上昇率は年7%となっています。前回1月の会議では物価高騰による増額を220億円としていましたが、今回さらに26年分を反映し、254億円まで膨らみました。

このほか、現場調査で判明した地中障害物の撤去などに11億円、下新庄駅周辺で交通への影響を抑える施工方法へ変更するため18億円を追加します。

積算基準の改定に伴う増額は51億円。一般管理費率や現場管理費率、鉄筋工などの基準変更を反映します。

安全対策では、交通誘導員、作業指揮者、列車監視員などの増員に加え、工期延伸に伴って借りている工事用地を長く使用する費用などを含め21億円を見込みます。

これらを合わせ、変更後の事業費は約2681億円となる見通しです。

最大のリスクは今後の物価上昇

ただし、2681億円で最終確定したわけではありません。大阪市は鉄道事業者などとの協議により、増額内容が変わる可能性があるとしています。

最大のリスクは、今後も続く可能性がある物価上昇です。

直近5年間と同じ年7%の上昇が36年度の事業完了まで続いた場合、さらに263億円の影響が見込まれます。施工中や未施工区間から、これまでと同程度の地中障害物が見つかった場合には12億円、積算基準が再び同程度改定された場合には22億円の影響を想定しています。

一方、施工方法や安全対策については関係者との協議がおおむね整っており、この部分からさらに大きく増額する可能性は低いとしています。

用地についても、高架工事に必要となる土地の取得はすでに完了しています。残っているのは主に側道整備に必要な用地で、高架への切り替え時期に用地取得の遅れが影響する可能性は低いとみています。

高架下空間を活かす動きも

長い工事期間の一方で、完成した部分を先に街へ生かす動きも始まりそうです。

大阪市は、淡路駅周辺で放置自転車などが地域課題となっていることから、完成済みの高架構造物の下に暫定的な駐輪場を設けることを検討しています。それ以外の場所についても、地域のニーズを確認しながら高架下空間の活用を進める考えです。

都市計画決定は1994年。鉄道高架工事の着手から数えても20年を超える大型事業です。高架切替は33年度、全体完成は36年度となる見通しですが、現在も列車を走らせながら、道路、新幹線、JR線、住宅地に囲まれた場所で工事が続いています。

淡路駅を中心とした巨大な高架構造物が列車の走る新しい鉄道空間へ変わるまで、もうしばらく工事の行方を見守ることになりそうです。

(画像:大阪市)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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