2026年4月21日、横浜・関内駅前に「OMO7横浜by星野リゾート」が開業します。昭和の巨匠・村野藤吾氏が手掛けた「旧横浜市庁舎」を再生した、歴史と現代が交差する「レガシーホテル」の誕生です。
横浜観光の課題であった「日帰り率の高さ」を打破すべく、コンセプトに「ハマイズム」を掲げ、ディープな街・野毛の魅力を伝える活動や、OMOブランド初となる本格ベーカリーを展開。さらに、星野リゾート最多となる32室のドッグフレンドリーフロアを備えるなど、これまでの横浜観光の常識を塗り替える拠点となります。
3月19日に先行オープンした複合施設「BASEGATE横浜関内」内に位置する、最新の“街ナカ”ホテルの内部をレポートします。

【参考】関内駅前「BASEGATE横浜関内」3/19開業! 旧市庁舎がホテルや商業施設に再生、横浜スタジアム直結のデッキ開通で街歩きはどう変わる? https://tetsudo-ch.com/13024803.html

OMO7横浜が「横浜を楽しみ尽くす拠点」に

「OMO7横浜by星野リゾート」総支配人 羽毛田実氏

「OMO7横浜by星野リゾート」総支配人の羽毛田実氏はOMOブランドについて「OMOレンジャーと呼ばれるスタッフが地域の人々と一緒に作り上げていくブランド」と説明。今年1月にオープンした、馬車道駅直結の「OMO5横浜馬車道」と、今回オープンする「OMO7横浜」2つの施設を通じて「横浜を丸ごと楽しみ、好きになって欲しい、何度も訪れて欲しい」と語りました。OMOの後ろについている数字はサービス内容を示し「7」はフルサービスを意味します。

横浜関内を、日帰りから宿泊する街へ
横浜は日本屈指の観光都市で、年間約3,800万人もの人が訪れます。しかし、東京へのアクセスが良いため、そのうち86.5%が日帰りしてしまう実態があります。関内エリアには、みなとみらいや横浜中華街、野毛エリア、そして横浜スタジアムや横浜BUNTAI、横浜武道館が徒歩圏内という恵まれた立地であることから「OMO7横浜が横浜を楽しみ尽くす拠点となって欲しい」と語りました。

旧横浜市庁舎の記憶を継承する、新旧融合のレガシーホテル

(画像:星野リゾート)

「OMO7横浜」は、地元の人々が集う場所として親しまれてきた「旧横浜市庁舎行政棟」を保存し、ホテルとしてコンバージョンしています。旧横浜市庁舎は、戦後の近代建築を支えた昭和を代表する建築家、村野藤吾氏によるデザイン。長いキャリアの中でも完成度が高いと言われている公共建築で、2020年まで使用されていました。2025年8月には戦後の建造物として初めて「横浜市認定歴史的建造物」に認定されています。
60年以上続いた市役所の歴史を引き継ぎホテルへコンバージョンするにあたり、改修の基本設計・実施設計・改修施工は「竹中工務店」が、インテリア基本設計・デザイン監修・FFE設計・監理は「成瀬・猪熊建築設計事務所」が担当しています。

村野イズムを継承しつつ「新旧融合」させたデザイン

「成瀬・猪熊建築設計事務所」成瀬友梨氏(写真左)と猪熊純氏

猪熊氏からは、プロジェクトのインテリアデザインについて説明がありました。旧横浜市庁舎を「執務のための空間」から「ホテル」へコンバージョンするにあたり、村野藤吾建築の良さを損なわず、街区全体のコンセプトである「新旧融合」を叶えるために掲げたインテリアデザインコンセプトが「接木(つぎき)としての改修デザイン」でした。既存の良さ・マインドを受け継ぎながら、今の時代に適した空間を創出しています。

「接木としての改修デザイン」イメージ

村野藤吾らしい「空間構成」を再現

「OMOベース」は、窓際にヒューマンスケールの居場所を設けた好例

市民広場の「おおらかで誰もが自由に入れる雰囲気・空気感を引き継ぎたかった」と猪熊氏。意匠性の高さが話題になることの多い村野建築ですが、オリジナリティあふれる空間構成も大きな魅力です。「窓際に『ヒューマンスケール(少人数で過ごすのに居心地のよい、小スケール)』の居場所を作りつつ、空間の中央に広がりのある大きな空間を設ける手法を踏襲しています」と語り、OMOベースやOMOダイニング、客室においても応用していると説明がありました。

⾊彩・素材・照明などの要素を読み替えて再構成

旧市会棟本会議場の円形照明(画像:星野リゾート)

そのほかにも、旧本会議場のカーペットと椅子の「緑」や「青」のタイル壁、旧市長室のカーペットの「赤」といった「色彩」、真鍮やガラスブロックなどの「素材」・照度の低い「照明」といった要素からインスピレーションを得て、ホテルに再構成しています。

天井の照明は旧本会議場にあった印象的な円形照明がモチーフ。村野氏がよく使っていた「光源を隠す」手法により再構成しました。パンチングメタルのカバーで光源を隠し、⽳の配置とサイズを細かく調整。やわらかな光をもたらします

オリジナルのまま「原位置保存」「再利⽤」したものも

旧市庁舎の市⺠広間に飾られていたアートワークを修復して飾った、2階「ライブラリーラウンジ」。天井の照明は、エレベーターホールで単独で使⽤されていたものを4つ組み合わせて再利用。引き戸には旧市会棟本会議場の扉に使⽤されていたドアハンドルを活用しています

ヘリンボーン張りにした床の拍子木タイルや壁の青い磁器質タイル、泰山タイルレリーフなど原位置保存したものや、旧本会議場のドアハンドルや市民広場の丸い壁掛け時計など、再利用したものも各所にあります。

OMOベースのシンボル「大階段」

猪熊氏が「私たちもどこが新しくてどこが古いか分からない」と語る、OMOベースの大階段

OMOベースの中心となるのは、旧横浜市庁舎にあった旧市民広間の大階段のデザインを継承・再構築したシンボリックな大階段。構造上の問題や階高の変更により既存のまま再現することはできませんでしたが、新しいものと古いものを複雑に組み合わせながら調整し「復元的再製作」を実現しています。

村野建築の特徴であるゆるやかなカーブを描く手すりや床の拍子木タイルは再活用

成瀬友梨氏は「OMO7横浜」でどのように過ごしてほしいかという問いに「思い思いに過ごしていただきたい」と前置きしつつ「村野氏のデザインを引き継いで作った旧横浜市庁舎行政棟の雰囲気・空間をゆっくりと味わっていただきたい」とコメント。「残っているもの、引き継いでいるものを宝探しのような感覚で見つけながら楽しんでもらえたら嬉しい」と締めくくりました。

旧市庁舎の色を纏う全276室の客室ラインナップ

客室まではエレベーターで。エレベーターホールの壁の⻘いタイルと⽩い⼤理⽯の三⽅枠は現位置保存。扉上部の昇降インジケーターは、オリジナルデザインを再現して新規で製作しています。また、館内にはタイルの青をイメージした客室もあります

客室は、20~73平方メートルまで、旅のスタイルに合わせて選べる全9タイプ・276室を用意。デザインの鍵となるのは、旧市役所内で実際に使用されていた色をモチーフにしたテーマカラーです。
旧市長室の絨毯をイメージした「赤」、館内の磁器質タイルを彷彿とさせる「青」、そして旧市会棟本会議場の議員席から着想を得た「緑」の3色が各部屋に落とし込まれています。

旧市長室の絨毯(画像:星野リゾート)
旧市長室の絨毯を思わせる「赤」がベースのかたりばルーム(R612)

最大6名まで宿泊可能な「やぐらスイート」や、ソファを囲んで語らえる「かたりばルーム」など、OMOらしい遊び心のある空間設計が特徴です。

ドッグフレンドリーなフロアを完備

グルーミングルーム

愛犬家にとって嬉しいニュースが、1フロアすべてを愛犬専用とした「ドッグフレンドリーフロア」の設置です。

ドッグフレンドリースイート(R327)

星野リゾート最多となる、32室のドッグフレンドリールームを完備しています。

ドッグフレンドリールーム宿泊者が利用できる屋内ラウンジ。ドッグフード用の電子レンジや、専用のシャワーブースも備えています

愛犬専用フロアとなる3階には、全天候型で楽しめる「OMOドッグガーデン」も併設。屋外ドッグランと屋内ドッグラウンジを備え、横浜の海辺や公園への散歩を楽しみながら、ペットと一緒の快適な滞在を叶えます。

リードを外して愛犬を遊ばせることができる屋外ドッグラン

屋外のドッグランは、小型犬専用スペースとすべての犬種が利用可能なスペース。足洗い場も設けています。

食と文化の拠点「OMOベーカリー」と「OMOダイニング」

「OMOダイニング」

「OMOダイニング」朝食 Yokohama Morning Specialties

「OMOダイニング」では、朝食ビュッフェと夕食アラカルトを提供。朝食ビュッフェは一品ごとの質の高さにこだわった「Yokohama Morning Specialties」を提供します。

「OMOダイニング」夕食アラカルトメニュー

夕食アラカルトは、横浜らしいナポリタンやドリアのほか、オマール海老の「麻婆ポットパイ」や、スパイシーなラムを包んだ「赤の餃子」といったエッセンスを取り入れたメニューまで網羅。夕食は日帰りでの利用も可能です。

「OMOベーカリー」

焼きたてのパンが香る「OMOベーカリー」

オールデイスタイルで楽しめる、OMOブランド初となる「OMOベーカリー」では30種類以上のパンを提供します。

辻晋堂氏による泰⼭タイルレリーフ

「OMOベーカリー」の壁面には、彫刻家・辻晉堂氏による泰山タイルレリーフ「海・波・船」を原位置保存。横浜市民に馴染み深いアートに囲まれながら、こだわりのパンを楽しめます。

7:00~10:00には、クロワッサンやフレンチトースト、クロックムッシュなど10種類から2種類のパンを選び、デリ2品・スープ・ドリンクとセットで味わえる「ベーカリーセット」を提供しています。

ベーカリーのパンでモーニングを楽しむことも可能

昼はカレー伝来の地・横浜にちなんだ「5種類の特製カレーパン」をメインに販売します。

「OMOベーカリー」のカレーパン

内覧会では、「OMOベーカリー」のカレーパンが振る舞われました。

試食したカレーパンはスパイシーで辛さもしっかりの本格的な味。子ども用に辛くないカレーパン(写真右)も販売しています

夜はパンをおつまみに酒を楽しむ「パン飲み」スタイルを提案しています。

OMOベーカリー「パン飲み」イメージ。ワインのほか、地元のクラフトビールと合わせるのもおすすめ

「OMO7横浜」で体験できる3種類のアクティビティ

浜風とジャズに酔いしれる「気分上々、ハマナイト」

「気分上々、ハマナイト」を開催する「HAMAKAZEテラス」

宿泊者向けの夜のイベントとして、旧横浜市庁舎の屋上という特別な空間「HAMAKAZEテラス」で毎晩19:00~22:30「気分上々、ハマナイト」を開催します。

「HAMAKAZEテラス」は横浜市タジアムが目の前。試合中は歓声が届くほどの距離で、好きな人にはたまらない環境です

西洋音楽の入り口であった横浜らしく、ジャズをはじめとする音楽の生演奏を聴きながら、クラフトビールやオリジナルフードをフェス気分で楽しめます。そして「HAMAKAZEテラス」は横浜スタジアムが目の前。試合終了後の熱気を感じながらジャズを楽しむ時間は、ファンにとって最高の贅沢になりそうです。

野毛を楽しむ極意も聞ける!?「野毛ホッピングセレクション」

野毛ホッピングセレクション

16:30~18:30に実施する「野毛ホッピングセレクション」は、約600もの飲食店が連なる日本屈指のディープな街、OMOレンジャーが厳選する店舗の紹介など、野毛の楽しみ方を伝授します。

OMOシリーズでは御馴染みの「ご近所マップ」もあり、近隣の散策スポットには困りません

このほか、9:00~10:10には、村野藤吾建築のホテルを中心として「横浜三塔」と呼ばれる歴史的建築(神奈川県庁・横浜税関・横浜市開港記念会館)などの建物や街の歴史を紐解く「横浜レガシーウォーク」を開催。新旧融合を実感できるツアーです。

「OMO7横浜」施設概要

所在地:神奈川県横浜市中区港町1丁目1番1
アクセス:JR根岸線「関内」駅徒歩1分、横浜市営地下鉄ブルーライン「関内」駅徒歩1分、みなとみらい線「日本大通り」駅徒歩7分
開業日:2026年4月21日
客室数:276室
料金:1泊1室3万6,000円~(2名利用時、税込、食事別)

歴史的建造物がレガシーホテルとして生まれ変わる「OMO7横浜」。かつて横浜市民の生活を支えた市庁舎が、今度は世界中からの旅人を迎える「街の顔」へと生まれ変わりました。村野藤吾氏の意匠を探す“宝探し”のような滞在も、野毛の夜に酔いしれるディープな体験も叶います。4月21日の開業、横浜の新しい歴史の1ページを、ぜひその目で確かめてみてください。

文/写真:斎藤若菜

(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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