エレクトロニクス製造サプライチェーンの総合展示会、SEMICON Japan 2018(セミコン・ジャパン、12月12~14日)。

その会場となった東京ビッグサイトには、埼玉工業大学の自動運転実験車「SAIKOカー」が展示されて注目が集まった。

「今回、大学として唯一、自動運転の実験車両を展示して、これまで各地で行ってきた実証実験の成果を紹介していく」と学生スタッフ。

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同大学は、スマートアプリケーションゾーンに展示フロアを展開。トヨタ、BOSCH(ボッシュ)、Tesla(テスラ)といった自動車メーカーのブースが並ぶ位置で、埼玉工業大学発ベンチャー「フィールドオート」のこれまでの活動を来場者に紹介した。

フロアには、同大工学部情報システム学科 渡部大志教授(兼 フィールドオート社長)をはじめ、自動運転研究チームの学生たちも参加。自動運転実験車の車内も公開しながら、公道による自動運転実験で得たノウハウ、センサのマウンターの作成・配線、センサ駆動ソフトのコーディング、センサ実装車を利用した公道実験成果などを伝えていた。

スタートはSIP-adus大規模実証実験、私立大学で唯一参加

AI時代に対応し、自動運転技術に関する研究・開発に取り組む埼玉工業大学は、世界的な大手自動車メーカーとともに、SIP-adus大規模実証実験に私立大学として唯一参加(2017年10月~)。

東京・台場エリアで公道の実証実験をスタートさせ、2017年12月からは、同大学の地元、埼玉県深谷市の公道で自動運転レベル3の実証実験を実施。埼玉県初の自動運転実証実験として、注目を集めた。

2018年に大学発ベンチャー「フィールドオート」設立

ことし6月には、国内の私立大学として初めて、自動運転の大学発ベンチャー「フィールドオート」を、ティアフォーの出資を得て設立。

民間企業や地方自治体による、自動運転の各種実証実験にティアフォーと連携して参加して実績を重ねてきた。

遠隔操作や、より複雑な環境で実証実験の実績を積む

また、フィールドオートの自動運転実験車「SAIKOカー」は、都心へも進出。

ことし9月、遠隔型自動運転サポートセンターを設置した損害保険ジャパン日本興亜などは、1.5kmある同社本社ビルとプライムアシスタンス本社の間で実証実験。

交通量の多い青梅街道で、レベル3の自動走行をティアフォーと連携しながら実施した。

ラストマイルの移動ニーズを想定した遠隔操作実証実験にも参加

ことし11月には、豊橋総合動植物公園で行われた遠隔型自動運転の実証実験(愛知県主催)に参加。

この実験は、運転席に人がいない自動運転実験車を、2台同時に走らせるという全国初の試み。

同実験では、ティアフォーや名古屋大学などと協力し、自動運転車両のオペレーションを補助。

実験車両から離れた場所にある運転席から、2台の実験車両を同時に遠隔監視・遠隔操作できることを実証。ハンドル、アクセル、ブレーキが自動的に制御され、出発地から目的地まで自動で走るというシーンでのさまざまな事象やノウハウを体得した。

―――自動運転実証実験でリードしてきたことしの埼玉工業大学。同大学はこうした実績を活かしながら、工学部情報システム学科にAI専攻を2019年春に新設。AI時代の人材育成に注力し、積み重ねてきた研究ノウハウを、大学発ベンチャーから学外移転へも手がけていくという。