セカチュー的視点でシンギュラリティの先を読む、片山恭一が描く「AI時代にみえてくるワンシーン」7/18未来技術推進協会イベント

2019.07.21

2045年、人工知能(AI)がリアルな人間の知能を超える転換点=シンギュラリティ(技術的特異点)に到達するといわれているいま、求められているAI人材とは。日本にとってAI人材とは何か―――。

そんな問いにヒントをくれる、「アメリカ西海岸からみた今後のAI人材」をテーマにしたイベントが、東京・六本木で行われた。

登壇者は、あの片山恭一氏(写真右)。300万部越えのヒット作『世界の中心で、愛をさけぶ』の著者で、7月13日にはAI哲学について記した新著『世界の中心でAIをさけぶ』(新潮新書刊)を出す片山さんが、文学者という立場からこれからのAI時代を語った。モデレーターは、いつも酒を交わしながら近未来を語り合う仲という、小平尚典氏(写真左)。

主催は、技術者コミュニティ「シンギュラリティ・ラボ」を運営し、テクノロジーによる社会課題解決のエコシステム構築を行う未来技術推進協会(草場壽一代表理事、写真中央)。

―――満席で立席が出るほどの会場で、片山さんが「シンギュラリティが起きてからは、テクノロジーが人類にとって新しい宗教のようなものになる」と解いた、その心は……?

トランプや習近平は、県や町のレベルになる

片山さんは今回、シンギュラリティ・ラボに参加する経営者やエンジニア、起業家たちの前で、こんな独自のストーリーを伝えた。

「シンギュラリティが起きてからは、テクノロジーが人類にとって新しい宗教のようなものになる」

「イスラムやカトリックなどはローカルな宗教になり、たとえば『テクノロジー教』というような、人類すべてがなんらかのかたちで帰属する宗教のようなものになる」

「シンギュラリティが起きるころは、宗教か、国家か、サイエンスか、わからないけど渾然一体となってやってくるだろう」

「サイエンスはある程度、合理性がある。世界人口70億人ほぼすべてに共通する。だからテクノロジーやAIとは、人類の誰もがなんらかのかたちで付きあわざるを得なくなる」

「国家は人類を統合する、管理するという位置。国際情勢は難しいけど、AIがデータを集めて合意しやすいところに落ち着く」

「国家という枠組みが失せていくと、トランプや習近平は、県や町のレベルになるだろう」

―――そんな近未来予想があるなかで、AI人材とはどうあるべきか。このあと参加者たちからもいろいろと意見が出る。

「あの人が好き」は個人情報データではない

片山さんや小平さんの痛快なトークのあと、会場の全員にむけてこう話した人もいる。

「シンギュラリティが起きてから、人間とAIは、知性としてのやりとりができてるのか。人間の時間は365日24時間といった尺で定義されているけど、AIは秒の積み重ねかもしれない」

「そうした関係のなかで、知性としてのやりとりがわかりあえないと、不幸かもしれない。不安かもしれない」(参加者)

そうした声を聞きながら、片山さんはまた独自のたとえをつけてこう話す。

「たとえば恋愛でいうと、『あの人が好き』というのは個人情報データではない。おそらくアルゴリズムに置き換えられない、人間らしい豊かなものだろう。人を好きになることは、『このうえない人』がいることだと思う」

「もうひとつ想像できるのは、シンギュラリティが起きたあとは、たとえばかつての移動手段だった乗馬がいまは高級な趣味になったように、テニスで汗をかくってことが上流階級の趣味になるかもしれない」

―――いろいろ語り合っているうちに、あっという間に2時間が過ぎてしまう。終了後も名刺を交換しながら今後のAI人材について、AIとの共存について、思い描いているイノベーションについて、いろいろと話が尽きない。

こうしたシンギュラリティにむけたコミュニティーを立ち上げた、未来技術推進協会にはどんなビジョンがあるか。

テクノロジーを通した社会課題の解決へ

草場代表率いる未来技術推進協会は、「テクノロジーを使って社会課題(特にSDGs)を解決したい」という想いから、会員制コミュニティ「シンギュラリティ・ラボ」を立ち上げ、こうした講演会やアイデアソンを実施。

最近では、AI・XR・ブロックチェーンなどを活用した社会課題解決プロジェクトの推進、テクノロジーや社会課題に関する最新情報をslackで共有・意見交換なども行っている。

今回の「アメリカ西海岸からみた今後のAI人材」をテーマにした片山恭一&小平尚典コンビの講演には、20代~60代までの幅広い層の参加者が約50人も集まり、会場は立席も出るほど盛り上がりをみせた。

―――未来技術推進協会 草場代表は、今後について「人間にとってより良いかたちでシンギュラリティをむかえる準備をしたい」という。

「そのためにも、未来技術推進協会で運営するシンギュラリティ・ラボを中心に、さまざまなステークホルダーと協力して、テクノロジーを通して社会課題解決を進めるエコシステム構築を加速させたい」(草場代表)

シンギュラリティ・ラボでは、7月30日に SDGsワークショップ、8月8・17日にシンギュラリティ・ラボ MeetUp、そのほか各種技術講座などの開催を予定している。

<一般社団法人 未来技術推進協会>
https://future-tech-association.org/

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