(前回)田園風景の中をのんびり・ゆっくり走る 富良野・美瑛ノロッコ1号乗車記【1】 旭川駅出発編
https://tetsudo-ch.com/10579941.html

新型コロナウイルスの影響を受けて延期されていた「富良野・美瑛ノロッコ号」の運行が約1ヵ月遅れて開始されました。本年は富良野線開業120周年記念として、スタンプラリーなど、特別企画が用意されています。本年度初運転となる7月18日に富良野・美瑛ノロッコ1号に乗車しました。今回は美瑛駅とその周辺を紹介します。

心地よい風を受けながらノロッコ号は進む

旭川駅を出発した「富良野・美瑛ノロッコ号」は富良野を目指します。富良野線18駅中、ノロッコ号が停車するのは旭川・美瑛・美馬牛・上富良野・ラベンダー畑・中富良野・富良野の7駅のみ。次の美瑛まで約30分間ノンストップで走り続けます。車窓は住宅街から田園風景へと変わり、心地よい風が吹き込んできました。

富良野線の概要

富良野線全線開通120周年バージョン乗車証明書

ADVERTISEMENT

車内では富良野・美瑛ノロッコ号乗車証明書と旭川車掌所オリジナルカードが配布されています。今年は富良野線全線開通120周年バージョンです。120周年を迎える富良野線を簡単に紹介します。

富良野線は1899年9月1日に北海道官設鉄道の十勝線として、旭川~美瑛が開業しました。同年11月15日に美瑛~上富良野延伸開業、1900年8月1日に上富良野~下富良野(現在の富良野駅)が延伸して富良野線全線が開業しました。1949年6月1日に国鉄に移管され「富良野線」として新たにスタートしています。

1970年代に国鉄のポスターに採用されたシーンを再現

1962年に旭川~釧路に急行「狩勝」が新設されて富良野線を経由したり、特産の農作物を積んだ貨物列車が往来するなど華々しい時代もありました。沿線にラベンダー畑や美しい丘陵などがある道内屈指の観光エリアながら、自家用車やバスなどの普及により輸送密度は低下の一途をたどり、1975年の3,587人/日に対し、近年は約1,500人/日に減少しています。

JR北海道と地域市町村の協力が存続の鍵を握る

北海道による総合交通政策検討会議が2018年に発表した『北海道の将来を見据えた鉄道網(維持困難線区)のあり方について』では「観光客の利用だけで鉄道を維持していくことは難しいことから、関係機関が一体となって観光路線としての特性をさらに発揮するよう取組を行うとともに、地域における負担等も含めた検討・協議を進めながら、路線の維持に最大限努めていくことが必要」とされています。

美瑛駅歓迎セレモニー

美瑛駅で記念写真

美瑛に到着するとノロッコ号は地元の方々の歓迎を受けました。美瑛ヘルシーマラソンのキャラクター「かけ丸」くんもお出迎え。この日は最高気温が32度にも達する猛暑でしたので、かけ丸くんも暑かったことでしょう。

美瑛軟石を使用した重厚な駅舎

美瑛駅は1899年9月1日に北海道官設鉄道十勝線開通によって開業しました。駅舎は1952年に改築され、美瑛町周辺で採掘されていた美瑛軟石が使用されています。これまでさまざまなCMやドラマの舞台になりました。モーニング娘。の6枚目のシングル「ふるさと」のMVにも登場しています。

美瑛駅近くの小さな踏切で撮影

美瑛町には美しい丘陵地帯や神秘的な白金青い池、びえい白銀温泉があるなど、沿線屈指の観光スポットですが、いずれも駅から離れているため、十分な時間が必要です。鉄道ファンには駅前でレンタサイクルを借りて、気に入ったスポットを探して鉄道写真を撮影することをおすすめします。

美瑛産小麦を使ったクラフトビール

お酒を楽しめるのも鉄道旅の醍醐味。美瑛産の小麦を使ったクラフトビールや、ふらのワインなど種類も豊富。旅のよきお供になることでしょう。

大勢に見送られて美瑛駅を後にする

ノロッコ号は人々に見送られて富良野を目指します。次の停車駅は「美馬牛」です。到着まで車窓の風景をお楽しみください。

文/写真:吉田匡和

「田園風景の中をのんびり・ゆっくり走る 富良野・美瑛ノロッコ1号乗車紀【3】」は2020年8月8日(土)9時頃の掲載を予定しています。(鉄道チャンネル編集部)

https://tetsudo-ch.com/10595104.html