「巡るたび、出会う旅。東北」 JRグループと地元が2021年4月から「東北DC」 JR東日本と東北の観光復興

2021.02.28

東北DC開幕を飾る団体専用列車「巡るたび、出会う旅。東北号」のメイン車両として使用される「リゾートあすなろ」 写真は大湊線ですが、東北DCでは様々な路線を巡ります。 写真:em / PIXTA

あの日から間もなく10年、今年も3.11がやって来ます。あの日とは、もちろん東日本大震災の2011年3月11日。折りしも東北では、2021年2月13日深夜に福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生、再び自然の脅威を見せ付けられました。

完全な復興はまだまだの東北ですが、震災後、一貫して観光による地域再生に力を入れてきたのがJR東日本です。JR東日本は震災10年の節目に当たり、さらなる東北の再生に力を尽くす方針を表明し、2021年2月9日の会見で深澤祐二社長が発表しました。

実践策が、同社を中心とするJRグループ旅客6社と地域が2021年4~9月に共同展開する「東北デスティネーションキャンペーン(東北DC)」です。DCは、6泊7日の団体専用列車「巡るたび、出会う旅。東北号」の運転をはじめ話題満載。発災から今日までの流れを、節目節目の話題を織り交ぜながら振り返ってみました。

DCは震災後東北各県を順番に、全県対象は初めて

東北DCのロゴマーク。東北6県の「六」をモチーフに、旅する人間の姿をデザインしました。 画像:東北観光推進機構

「JR東日本グループは、これまでも東北復興に取り組んできましたが、震災から10年の節目を迎え、地域活性化や4月からの『東北DC』に向けた取り組みを進めます。JR東日本グループは、東北エリアの復興に向けて、これからも地域とともに歩みます(大意)」。「これまでも」と「これからも」の2つのフレーズを織り込んだ今回の発表が、JR東日本の被災地復興に託す思いを言い表します。

2021年度のスタートを飾る東北DCは、JR旅客6社と東北6県に加え、東北観光推進機構が中心になって展開します。東北観光推進機構は、東北6県に新潟県を加えた広域エリアの観光推進母体。DCのキャッチフレーズは、「巡るたび、出会う旅。東北」です。

震災以降の東北エリアのDCは、2011年4~7月に青森県、2012年4~6月に岩手県、2013年4~6月に仙台市・宮城県、2015年4~6月に福島県、2016年7~9月に青森県・北海道函館(青函)と5回実施されましたが、6県の広域を対象とするのは初めて。さらに、通常は3ヵ月ごとに目的地を変えるDCが半年間にわたり同一目的地で開催されるのも初めてと、異例尽くめです。

東北DCのスペシャルサポーターは宮城県出身の人気お笑いコンビ。サンドウィッチマンが務めます。 画像:JR東日本

過去のDCで記憶に残るのは、発災直後の青森DC。青森県は深刻な被害はなかったものの、沿岸部中心に一部被災したこともあり、「DCを中止すべき」の議論もあったと聞きますが、既に準備を終えていたこともあり派手な演出を控えて予定通りに実施。震災後にあった「被災地を観光するのは不謹慎」の誤解を解き、「観光で被災地を元気に」の流れをつくり、その後の熊本地震や西日本豪雨、北海道胆振東部地震などの自然災害時に引き継がれました。

〝東北全県キャンペーン〟の始まりは「東北観光博」

過去の東北観光キャンペーンでは震災翌年、2012年3月からの「東北観光博」の記憶もよみがえります。観光庁を中心に東北6県と経済・観光関係団体、JR東日本などの民間が一体となって、2013年3月までの1年間にわたり展開。東北全県を観光博覧会場に見立て、多彩な催しが繰り広げられ、東北再生に弾みを付けました。

観光博を主催した実行委員会には、観光庁と東北6県のほか、日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会、日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)、東北運輸局などが参画。東北DCの先導役を務めたと考えられるでしょう。

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