祝・新阿蘇大橋開通 さぁ次は鉄道 2023年夏の全線運転再開を待ちわびる南阿蘇鉄道をご紹介

2021.03.21

発災15日間で3000回に迫る余震

旧阿蘇大橋の崩落現場。分かりにくいかもしれませんが、熊本地震前にはこの先に橋がつながっていました。

本題に入る前に、まずは熊本地震と南阿蘇鉄道の歴史に触れておきましょう。

2018年の熊本地震は特異な自然災害でした。震度6以上は全部で7回(うち震度7が2回)で、阪神大震災の1回、新潟県中越地震の5回を上回ります。発災15日間の余震は2959回で、阪神の230回、中越の680回とは、けた違いでした。被災市町村の居住人口約148万人で、熊本全県人口の83%に相当します。ピーク時の避難者数は、およそ18万4000人に上りました。

2016年9月までの被害額は約3兆8000億円で、内訳は住宅関係2兆337億円、商工関係8200億円、公共土木施設2685億円、農林水産関係1653億円、文化財936億円など。商工関係は、観光客の宿泊キャンセルを含まない数字。熊本全体の宿泊キャンセル数は、概算33万人泊と記録されます。

阿蘇山を巻くJR豊肥線と南鉄

阿蘇山は南北両側を鉄道が巻きます。北側がJR豊肥線、南側がかつて国鉄高森線だった南鉄高森線。高森線は豊肥線立野を起点に、終点の高森まで17.7kmのローカル線で、戦前の1928年に国鉄宮地線の支線として開業しました。開業日は2月12日で、その年の12月2日に豊肥線が開業したため、1年足らずのうちに線区名が高森線に変更されました。

当初の計画では、高森線は宮崎県側の国鉄高千穂線とつながるはずでした。しかし、県境のトンネルを掘削中に異常出水が発生。九州横断鉄道の構想は、夢と消え去りました。ちなみに出水したトンネルは、現在も「高森湧水トンネル」として、地域に親しまれています。

高森線とつながるはずだった高千穂線は、南鉄と同じく国鉄改革で三セクの高千穂鉄道(高鉄)に移管されました。高鉄は延岡―高千穂間50.0kmの路線を運営していましたが、2005年の台風14号で橋梁2ヵ所が流失。同社は復旧費用を捻出できず、2008年までに全線が廃止されました。

九州横断鉄道として計画されながら、建設工事中の出水トラブルで全通を断念。両端部分は、そろって三セク鉄道になり、宮崎側は台風、熊本側は地震と、ともに自然災害で被災。その後、宮崎側は廃止、熊本側は5年余の区間運休を挟みながら運転再開を目指す。歴史をたどると、数奇な運命の巡り合わせを感じざるを得ません。

次ページカルデラ地形を走る鉄道


LINEで送る

オススメ記事

こちらの記事もオススメです