自動運転とホームドアはクルマの両輪

JR東京支社は常磐緩行線で、ホームドア整備にも乗り出します。4月からの2021年度には、北松戸―北柏間の7駅への導入を予定します。

スケジュールは、7月ごろ馬橋駅、10月ごろ北小金と北松戸の2駅、年末に南柏、柏、北柏の3駅、2022年2月ごろ新松戸に整備します。柏と新松戸の両駅は従来型のホームドアですが、ほかの5駅に採用するのが、グループのJR東日本メカトロニクスが開発した「スマートホームドア」。残る亀有、金町、松戸、我孫子、天王台、取手の6駅は2022年度以降に整備します。

スマートホームドアは2016年末、JR横浜線町田駅に導入されたのが第一号。通常のホームドアは、いかにも重量がありそうなドア部が左右にスライドしますが、スマートドアは開口部を簡素なフレーム構造にして軽量化しました。開口幅は2.8mに広げ、電車の停車位置が多少前後にずれても対応できます。ホームドア設置駅では、決められた範囲内に列車を停車させる必要があるわけで、自動運転とホームドアは非常に親和性の高い技術というか設備といえるでしょう。

※編集部注:JR町田駅のスマートホームドアは新しいホームドアに取り替え中で、開口幅2,000mmのものになる予定です。

鉄道事業を質的に変える

JR東日本の「変革2027」にトピックスとして登場したスマートトレイン。サービス、安全、環境、運行、保守を一体化して次世代の鉄道システムを構築します。(画像:JR東日本)

本稿の最初に、JR東日本がグループ経営ビジョン「変革2027」のトピックスとして「スマートトレイン」を取り上げ、実践策の一つとして自動運転(変革2027では「ドライバレス運転」)を打ち出したことを紹介しました。ここではスマートトレインとは何か、自動運転がなぜ実践策なのか考えてみましょう。

JR東日本の資料では、鉄道事業の質的な変革をスマートトレインと表現します。鉄道は当たり前ですが、レール上を車両が走って人やモノを運ぶ公共交通機関です。運転士が前方の信号を見て、安全を確認しながら列車を走らせるのが運行の基本です。

確かに歴史に裏打ちされた非常に確実性の高いシステムといえますが、一方でICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)が進歩する現代にあっては、もっと効率化した手法で同程度、あるいはレベルアップした安全・安心が確保できれば、利用客へのサービス向上にもつながるという論理です。

同じ交通分野で、自動車は自動運転が実用化間近。近未来にはガソリン車が販売禁止になって、オールEV(電気自動車)化するといわれたりします。そうした時代に鉄道が旧態依然とした運行スタイルでは、「鉄道は時代遅れの乗り物」の誤解を与えかねない。もちろん少子高齢化で、いわゆる現役世代が減少し、効率化しないと事業が継続できないという現実的な理由も大きいと思いますが……。

いずれにしても、JR東日本の自動運転が広がりを見せるのか、これからも関心を持ちましょう。