JR九州は自動運転システム

JR九州の香椎線自動運転では、819系(DENCHA)電車1編成2両を使用します。(画像:JR九州)

ここからは、JR東日本以外の自動運転を駆け足で。JR九州は、自動列車停止装置(ATS)を基盤にする、全国初めての自動列車運転システムの開発に取り組みます。

これまで鉄道の自動運転システムは自動列車制御装置(ATC)をベースに開発されてきましたが、JR九州の在来線の多くはATS線区で、ATCへの換装には多額の設備投資が必要。そこで同社は、鉄道総研や日本信号との共同研究で、ATSベースの自動運転システムを構想しました。

ATSは一口で言えば、ATCの一段前の信号保安システム。一般に、ATCがレールを介して速度などの情報を連続的に車両に伝達するのに対し、ATSは地上子(線路内に設置する、走行中の車両に情報を送る無線装置)の点を車上でつなぎながら速度制御する(必要時に列車を止める)仕組みです。ATSベースのJR九州の自動運転システムは地上子を増やして、きめ細かく車両に情報ほ送る、いわば点をつないで線を描くように列車を走らせます。

ATSとATCの違いを示すJR九州の自動運転の発表資料。ATS-DKはAutomatic Train Stop-Digital Kyushuの略で、簡単にいえばATSのJR九州バージョン。自動列車停止装置に停止(赤)信号時の冒進を防ぐ機能を強化し、速度超過を防ぎます。(画像:JR九州)

JR九州は2020年12月から、香椎線西戸崎―香椎間で実証実験。2021年度末までに、今回と同じく運転士が乗務する状態で、ATSをベースにした自動列車運転装置による営業運転を香椎―宇美間に拡大、対象列車も増やす計画です。

都営地下鉄大江戸線や大阪メトロ中央線も

鉄道のタイプ別では、地下鉄事業者が自動運転システムの採用に力を入れます。東京都交通局は、都営地下鉄大江戸線に無線式列車制御システム(CBTC)を2026年度を目標に導入、自動運転機能の採用を構想します。

大阪メトロは2019年に発表した、2025年度までのグループ中期経営計画で、2024年度中に地下鉄中央線の延伸区間に当たる阿波座―夢洲新駅(仮称)で実証実験を始めるスケジュールを公表しています。

文/上里夏生