JR東日本は、山手線E235系(画像:鉄道チャンネル)で乗務員が省エネ運転を試行した結果、約10%の運転エネルギー削減効果があることがわかったと発表した。

鉄道事業者などが研究をすすめている省エネ運転は、駅間の所要時間を変えずに最高速度を抑え、運転エネルギーを削減した運転をいう。

具体的には、加速時間を短くし、列車が動力による加速力やブレーキ力がなく、慣性によって走行をしている「惰行」の時間を長くし、そして減速時間を短くするという運転スタイル。

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JR東日本は、山手線で省エネ運転を試行するために、乗務員が運転した走行データを分析し、その中から定時性と省エネを両立する運転曲線を抽出。これを再現することで、運転エネルギーの削減を実現させる。

車両モニタリング機能を搭載する山手線E235系でデータ取得

車両モニタリング機能を搭載する山手線E235系電車は、走行中のさまざまなデータを取得できる。

このデータから、駅間ごとに、消費電力量、所要時間、加減速操作のタイミングなどを分析。

駅間ごとの分析結果から、省エネ効果と乗務員による再現のしやすさなどを考慮した加減速操作のタイミングを決定する。

こうした省エネ運転を山手線の乗務員が試行した結果、約10%運転エネルギー削減効果が確認された。

これを山手線1年間の運転に換算すると約500万kWh(CO2 約1,400トン)の運転エネルギーを削減できる見込み。

また、首都圏の在来線全線区で省エネ運転に取り組み、同様の削減効果があると仮定すると、年間約2.3億kWh(CO2約7.3万トン)の運転エネルギーを削減できる見込みに。

E235系が走る他線区でも展開

JR東日本は今後、手動でデータのダウンロードや変換作業を行っている同研究走行データ分析を自動化し、分析結果を短時間でフィードバックする方法などのシステムを開発。乗務員がデータにもとづいた省エネ運転に取り組みやすい環境を構築する。

また、同研究の知見を活用したアルゴリズムによる省エネ運転曲線選定の自動化や、運転中の乗務員に最適な運転操作のタイミングを伝え、省エネ運転を支援する手法などを検討していく。

さらに、E235系が導入される他線区への展開や、将来の自動運転への知見の活用など、省エネ運転の取り組みを推進していくことで、脱炭素社会の実現に貢献していくという。

画像:鉄道チャンネル
記事:鉄道チャンネル(https://tetsudo-ch.com/