平成筑豊鉄道「ことこと列車」1号車(写真:平成筑豊鉄道提供)

2021年11月2日、当サイトに「『ことこと列車』で結婚式を挙げてみませんか? モニターカップル募集、100万円の補助も」という記事が掲載された。内容は次のようなものだ。

“福岡県の直方市~田川市~行橋市を結ぶ平成筑豊鉄道では、2019年から「ことこと列車」というレストラン列車を運行している。種車は同社の保有する400形気動車で、デザインは水戸岡鋭治氏が手掛けた。

2021年秋頃、この「ことこと列車」で式を挙げてみませんか、という企画を福岡ウエディング協同組合が立案した。組合は「コロナ禍において少人数で実施できるプレミアムな人生の門出を応援するための事業」として「ことこと列車」を活用した結婚式の商品化を検討しており、課題抽出などを行うためモニターカップルを募集する。

モニターカップルには商品販促の際の写真撮影などにも協力してもらう。その代わり、挙式にかかる費用の一部は組合が負担する。募集対象はコロナ禍で挙式できなかった方、少人数で挙式を考えている方など。すでに入籍して時間が経っていてもOK。是非ご応募を……”

こうした記事は「募集が行われています」で続報がないことも多い。だが今回は違った。記事掲載から4ケ月。前述の福岡ウエディング協同組合が加入する福岡県中小企業団体中央会から続報をいただいた。

「2022年3月5日に挙式事業を実施しました」

横浜市在住のご夫妻が挙式、観光列車らしい工夫の数々

挙式事業を実施された内田ご夫妻 

式を挙げられたのは、神奈川県横浜市にお住いの内田慎太郎さんと奈津さんご夫妻。実は当サイト(鉄道チャンネル)に掲載された記事をご覧になり、申し込まれたという。

平成筑豊鉄道には「内田駅」という駅がある。ご夫妻の名字と同じ駅で何か面白いことをしてみたかった、というのが応募の理由とのこと。駅名が横浜のご夫妻と筑豊のレストラン列車を結んだ。

当日は快晴、「ことこと列車」はご夫妻と参加者を乗せ、昼前に直方駅を出発した。車内では「ことこと列車」を所有する平成筑豊鉄道の河合賢一社長の祝辞も行われ、ご夫妻の素晴らしい門出に華を添えた。

出発後の車内では同列車の装飾を施したケーキも登場。メインイベントは揺れる列車内でも楽しめるよう、ZOOMを使用して各テーブルで見られるようにした。

「ことこと列車」運行時の様子
「ことこと列車」の装飾を模したウェディングケーキ

列車での結婚式「らしさ」が見られたのはウェディングケーキだけでなかった。内田駅への臨時停車、終点間際の油須原駅で線路に降りての写真撮影など、観光列車だからこその特別な演出が多数用意された。

ご夫妻の苗字でもある内田駅への臨時停車
油須原駅で記念撮影
列車出発時のお見送りの様子

また式の最中に食事をとる余裕のなかったご夫妻に、平成筑豊鉄道が回送列車のダイヤを活用して素敵な特別運行をプレゼントするなど、いくつものサプライズが用意されていた。

直方へ戻る回送列車のダイヤ内で、サプライズとして再度沿線のアナウンスを実施。さらに、食べるタイミングが無かった料理を、お二人のためだけに提供した。
帰路のスターフライヤーの機内でもサプライズが。機内スタッフからお祝いメッセージと今回実施の中心となった福岡ウエディング協同組合、福岡県中小企業団体中央会、平成筑豊鉄道とJTB北九州支店より平成筑豊鉄道車内の「つり革オーナー」の権利一年分が贈呈された。

当日の様子は福岡県にある西日本新聞社とFBS福岡放送のローカルニュースで報じられた。詳細は福岡県中小企業団体中央会のホームページにも掲載される。福岡ウエディング協同組合では第2弾・第3弾も検討しているそうで、ご興味をお持ちの方は、福岡ウエディング協同組合ホームページの問い合わせフォームから、ぜひご相談を。

写真提供:福岡県中小企業団体中央会