昔も今も庶民的な駅・上野

上野駅正面。頭端式ホームなどヨーロッパの鉄道駅に似ているといわれます(筆者撮影)

山手線30駅を代表して、上野駅と池袋駅に注目しました。両駅とも東京を代表する拠点駅ですが、巨大ターミナルの新宿駅や渋谷駅、東海道新幹線や東北新幹線の始発駅・東京駅に比べると、一昔前の山手線らしさをとどめるように思えます。

上野駅の開業は1883年7月。開業時は東北線の始発駅だったことから、いわゆる行き止まりの頭端式ホームだけでした。

1892年ごろの上野駅路線図。ホームは基本的に1面2線で、駅構内には貨物積卸し場や転車台がありました(出典:国鉄時代の業務参考資料)

1925年には東京―上野間が開業し、開業時からの頭端ホームは地平(地上)、秋葉原、東京方面に直通する山手線、京浜東北線(現在は上野東京ラインも)は高架上を走ります。国鉄時代の1985年に開業した東北新幹線は地下駅で、構造的には3層に分かれます。

かつて高層ビルへの建て替え計画があった

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JR東日本は会社発足直後の1987~1990年ごろ、上野駅を高層ビルに建てかえる構想を打ち出しました。しかし、バブルがはじけて経済環境が変わったほか、地元にも賛否両論があり最終的には計画を断念しています。

前に上野駅を庶民的な駅と書きましたが、上野駅近隣は、個人商店や中小企業の集合体。一部慎重派の皆さんはJRが巨大なビルを建てると、お客をうばわれるかもと考えたようです。

JR上野駅をめぐる最近のニュースでは、典型的な小ネタですが、「JR東日本仙台社が『南東北産直市』開催」、「JR東日本などがネットショッピング購入品の受け取りを中央改札(有人窓口)でトライアル」などが見つかりました。利用客が気軽に買い物を楽しむ、そんな庶民性が上野駅の魅力です。