ロマンスカーのベストショット

話をフィールドワークに戻して、藤沢駅見学では2つのプログラムが用意されました。

一つ目は〝撮り鉄タイム〟。駅構内西側の保線・電気詰所は、駅に出入りする列車を間近で眺められるほか、シーサースクロッシングが転換する様子も見られます。

2024年2月の藤沢駅は、小田急と藤沢市と共同事業による駅改良の真っ最中。現在の駅舎は小田急が地上、隣接するJRが2階の橋上で段差がありますが、2027年度末には小田急も橋上駅舎に移ってJRや江ノ電への乗り換えが便利になります。

駅の司令塔「藤沢駅信号所」

撮影会に続く、最大のイベントが「藤沢駅信号所」見学会。かつての鉄道会社は主要駅に信号所があり、駅ごとにポイントを切り替えて列車の進路を構成していました。

最近は、多くの鉄道会社が総合指令室などでの集中制御に変わりましたが、小田急は一部駅の信号所機能を現在も残します。

そのわけは、ダイヤが乱れた際など現地での対応が素早く取れるから。藤沢駅は、異常時のほか、混雑が日々異なる朝ラッシュ時、駅の信号所で列車を運行管理します。

てきぱきと業務をこなす藤沢駅信号所の担当社員。基本ダイヤは頭の中にインプット。進路を構成すると、駅に入線する電車が自然にイメージされます(筆者撮影)

駅の案内放送も、信号所から流せるようにシステム化され、運行管理は社内資格を持つ社員が担当します。

信号所見学は、小田急の利用客ファーストの姿勢を知る貴重な機会になったはずです。

「駅のバックヤード見学に大満足」

最後に、参加者代表お2人に感想を聞きました。

川崎市からやって来た50歳代のベテランファン、運行管理の方法など熱心に質問していました。「フィールドワークはネットで知りました。信号所など、普段は入れない駅施設を見学できたのが最大の収穫。次回も同様の企画があれば、ぜひ参加したい」。

もうお一人は、地元藤沢市の中学生。親子連れを除き、参加者の最年少です。「駅のチラシで開催を知りました。鉄道の知識が深まって意義深い体験でした」。

ロマンスカーミュージアムは、今後もフィールドワークを継続します。本サイトでも紹介しますが、リクエストがあればぜひミュージアムにお知らせください。

記事:上里夏生

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