1日2800人が利用

復旧後の上田電鉄どうなった? 全国大会でパネリストを務めた、上田電鉄の常務・國枝聡さんによると、被災前に年間130万人程度だった利用客は現在100万人前後で完全には戻り切っていません。輸送人員年間100万人は、単純計算で1日2800人程度。沿線には高校のほか長野大学もあり、通学生中心に一定の利用があります。

上田電鉄の年間乗車人員の推移。千曲川橋りょう落橋で大きく落ち込んだものの、V字回復していることが分かります(資料:上田市)

國枝さんは上田電鉄の被災を機に東急から派遣され、災害復旧を陣頭指揮しました。全線の運転再開後も上田に残り、鉄道の維持・再生を主導します。

上田電鉄は利用促進に努めます。駅で見付けたパンフレットが、2024年4月14日までの「別所で卒旅(そつたび)キャンペーン」。卒業旅行で別所温泉を訪れると宿泊料金を割り引き、特典も用意します。

「移動するのが楽しくなる仕掛けを」(地元高校生の発表から)

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大会の発表では、公立長野県上田染谷丘高校の新井アンジさんの「高校生が考える未来の上田の交通」に興味を持ちました。

上田染谷丘高生161人へのアンケート調査では、通学手段で最も多いのは「鉄道・バス」の54.4%。「自転車」の23.8%、「徒歩」の12.5%が続きます。

鉄道・バスが多いのはその通りでしょうが、問題は駅や停留所までの移動手段。上田市による別の調査では、「家族がマイカーで送迎している」が半数を超えています。

「家族に送ってもらい鉄道やバスに乗る」が、いつわらざる地方都市の現状。「どうすれば鉄道やバスをもっと利用するか」の質問では、「乗りたい時刻に列車やバスが来る」、「運賃がもっと安くなる」の回答が上位でした。

「全国には特典満載の新しい定期券で、バス利用客を3倍に増やした栃木県小山市のモデルケースもあるそう。上田も乗りたくなる仕掛けを凝らしてほしい」と訴えました(当日は新井さんの体調不良で、上田ビジョン研究会の藤川まゆみさんが代理発表)。

再エネ100%で電車を走らせる

上田電鉄をめぐる新しい話題2題。上田市は2023年11月、環境省の「脱炭素先行地域」に認定されました。

件名は「ローカル鉄道と市民がともに支えあうゼロカーボン×交通まちづくり」。別所線の線路敷きや沿線施設・住宅などに太陽光発電パネルを設置して、再生可能エネルギー100%で列車運行します。

東急グループでは、「日本初の再エネ100%電車 EST交通環境大賞受賞の東急世田谷線」の取り組みを2021年2月、本サイトで紹介させていただきました。上田電鉄への展開で、「地球環境にやさしい地方鉄道」を社会にアピールする趣旨です。

もう一つ、上田電鉄が力を入れるのが沿線へのシェアサイクル普及。上田市による社会実験期間は2024年3月20日~12月1日で、上田電鉄の通勤定期券購入者(乗車区間などに一部規定あり)は、沿線のレンタサイクルを基本料金無料で利用できます。

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