東海道本線と身延線が分岐し、古くから製紙の街・富士のシンボルとして機能してきたJR富士駅。その北口周辺エリアが、2028年春、まったく新しい姿へと生まれ変わります。
富士市は、市街地再開発と駅前広場整備を一体化させた総力プロジェクトを推進中です。広場を立体的に活用する新たな「駅前公益施設」は、令和6年度(2024年度)に基本設計を完了し、令和10年(2028年)4月のオープンを目指して動き出しました。老朽化した建物の更新やモータリゼーションの進展による来街者減少という課題を抱える富士駅北口地区において、新たな賑わいと交流の中心地となることが期待されています。
本記事では、雨に濡れずに乗り換えができる全天候型ピロティから、待ち時間を優雅に変える「ブック&カフェ」、富士山の雄大な景色を五感で楽しむ屋上テラスまで、進化する富士駅北口の全貌を詳しくお届けします。

富士駅北口での2つの再整備プロジェクト・一つは「市街地再開発事業」

富士駅北口周辺地区で進むのは、富士駅北口第一地区 第一種市街地再開発事業(北側敷地約1.0ha)駅前広場整備事業(駅前敷地約0.9ha)が一体となった開発です。
これまで富士駅北口は、商業や業務の中心地として発展してきましたが、近年は大型店舗の撤退等により来街者数が減少し、駅周辺の活力低下が課題となっていました。そこで市は「暮らしの質を維持する集約・連携型の都市づくり」の一環として、駅前広場を立体的に活用した公益施設を整備し、都市機能の集約と賑わいの創出を図る計画を打ち出しました。

富士駅北口第一地区の市街地再開発事業

富士駅北口第一地区の市街地再開発事業は、老朽化した建物を建て替え、道路や街区再編を行う事業で、再開発組合が施工主体となり進められます。

富士駅北口第一地区 第一種市街地再開発事業 完成イメージ(画像:富士市)

完成後の建物は、地上12階建てと6階建ての2つになり、住宅や店舗、駐車場、専門学校が入る建物を計画しています。2026年12月に着工し、2030年(令和12年)4月の建物オープンを目指しています。

下の図においては、上が市街地再開発事業 でできる2つの建物で、下の建物が駅前広場整備事業での公益施設のイメージです。

富士駅北口第一地区第一種市街地再開発事業 、完成後の用途(画像:富士市)

駅前の敷地で行われるもう一つの再開発「駅前広場整備事業」

駅前で行われるもう一つの再開発事業が、富士市が主体となって駅前広場に新たな公益施設を整備する「駅前広場整備事業」です。こちらは、市が主体となり整備が進みます。

富士駅の駅前広場にできる公益施設のイメージ(画像:富士市)

こちらは、富士駅周辺の賑わいづくりや公共交通利用者の利便性向上を目的に、駅前広場を重層的に活用した公益施設の整備を行うものです。

富士駅北口周辺地区の再整備 位置図(画像:富士市)

2024年度(令和6年度)には公益施設の基本設計が完了し、2028年(令和10年)4月のオープンを目指してプロジェクトが進行しています。

北口駅前公益施設の4つの機能「つなぐ」「集う」「育む」「誇る」

この公益施設は、単なる待合所や公共施設ではなく、多様な世代が交わる場所として4つの機能コンセプトが掲げられています。

公益施設の建物北側(再開発ビル)からのイメージ (画像:富士市)

交通結節点としての「つなぐ」機能

鉄道利用者やバス・タクシー利用者の利便性を飛躍的に高める機能で、交通広場が整備されます。現状の駅前広場にあるバスやタクシーの乗降場を施設内の1階ピロティ部分に集約し、全天候型で雨に濡れずに乗り換えができるようになります。また、施設内にはバス券売機やデジタルサイネージ、自販機を備えた交通待合室も整備され、待ち時間を快適に過ごすことができます。

賑わいと交流の中心「集う」機能

誰でも気軽に訪れてくつろげる場所として、2階を中心としたウェルカムコーナー図書スペース(ブック&カフェ)が計画されています。飲食しながら本を読んだり、待ち合わせに利用したりできるオープンな空間となり、地域特産品を扱うチャレンジショップの併設も想定されています。

施設内にできる各スペースのイメージ(画像:富士市)

次世代の人材を育成する「育む」機能

SDGsやDX時代に対応し、子どもから若者までが主体的に学べる「STEAM教育」の拠点となるクリエイティブ&コミュニティラボ(ものづくりラボや防音・キッチンスタジオなど)が設けられます。

富士市の顔としての「誇る」機能

富士駅北口の最大の地域資源である「富士山の眺望」を最大限に活かすテラスなどの整備です。駅改札から自由通路を抜けた先や屋上広場からは富士山を望むことができ、建物自体も富士ヒノキなどの地産材を活用した環境配慮型のデザインとなる予定です。

鉄道旅も便利に!鉄道旅行者としての注目ポイントは?

この新施設誕生は、鉄道で富士市を訪れる旅行者にとっても大きなメリットをもたらします。

まず、駅の改札を出てすぐの場所に、雨に濡れずに利用できる快適な待合スペースやブック&カフェ機能が備わる点は、列車の乗り継ぎ待ち(例えば東海道本線~身延線の乗り換えなど)の時間を有効活用する上では、非常に便利です。
また、施設内や屋上テラスから雄大な富士山の景色を楽しめる構造になる計画であるため、駅にいながらにして富士山ビューを満喫できる新たなビュースポットとしても期待されます。さらに、施設内に設けられるインフォメーション機能やチャレンジショップを通じて、富士市の地域情報や特産品に手軽に触れることができるため、街歩きの拠点になることも期待できそうです。

新駅舎や駅前広場の再整備は、その街の第一印象を大きく変える力を持っています。富士駅周辺がこれからどのように生まれ変わっていくのか、引き続き動向に注目です。皆様も富士駅を訪れた際は、ぜひ進化し続ける駅前空間の様子をチェックしてみてくださいね。

(画像:富士市、©2026 富士駅北口リニューアル)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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