回転寿司チェーン「くら寿司」のハイグレードブランドであり、関東2店舗目・過去最大規模となる「無添蔵(むてんくら) 新宿店」が、2026年7月9日(木)にオープンします。
注目は、外食業界初となる「北海道新幹線」による超速輸送を活用した鮮魚の提供です。JR東日本グループの列車荷物輸送サービス「はこビュン」を利用し、北海道で朝〆した「函館サーモン」などの地魚をその日の夕方に新宿で味わうという、これまでの常識を覆す“ハイパ(ハイグレード・パフォーマンス)”な食体験が実現します。
本記事では、鉄道インフラが外食産業にもたらす新たな付加価値と、気になる「新幹線輸送のタイムスケジュール」の舞台裏をお届けします。

JR東日本の列車荷物輸送「はこビュン」とは?

列車荷物輸送サービス「はこビュン」

JR東日本グループは、新幹線や在来線特急列車などの輸送力を活用した列車荷物輸送サービス「はこビュン」を2021年から展開しています。東京駅を起点とし、北海道・東北新幹線、秋田新幹線、山形新幹線、上越新幹線、北陸新幹線の各路線で主要都市間を結ぶ広域物流ネットワークを構築してきました。
利用形態に応じて2種類のサービスがあり、法人向けの基幹サービス「はこビュン」は事前契約によるスポット輸送や定期輸送、車両貸切による大口輸送に対応。「はこビュンQuick」は緊急輸送サービスとして、対象となる新幹線の出発30分前までに荷物を駅カウンターに持ち込めば即日輸送が可能です。
さらに2025年からは臨時列車の一部客室を使用した大口定期運行サービスを開始。2026年からは「荷物専用新幹線」の運行も始まり、物流の新しい可能性を広げています。

【参考】JR東日本「荷物専用新幹線」運行開始! E3系が拓く物流の未来 自動搬送AGVが支える「はこビュン」最前線をレポート(東京都北区)(※2026年3月掲載) https://tetsudo-ch.com/13025292.html

くら寿司の上位ブランド「無添蔵」とは?

「無添蔵 新宿店」エントランス

「無添蔵(むてんくら)」は、回転寿司チェーン「くら寿司」が2005年より展開するプレミアムブランドです。当初は関西エリアの4店舗に限定し、小規模だからこそ可能なひと手間かけた調理や、限定的に仕入れられる上質なネタを使ったグルメ志向の商品を提供してきました。
2025年5月には関東初出店となる「無添蔵 中目黒店」がオープン。「日常の中の“非日常”」をコンセプトに、内装を“大人の隠れ蔵(家)”をイメージしたしっとりとした空間にリブランディングしました。回転レーンは継続しつつもアミューズメント要素を減らし、落ち着いた雰囲気を醸成しています。そして2026年7月9日関東2店舗目となる「無添蔵 新宿店」がオープンします。

「無添蔵 新宿店」アクセス

新宿高野ビルのフロア案内板が目印

「無添蔵 新宿店」はJR新宿駅東口から徒歩約1分、「タカノフルーツパーラー」でおなじみ、新宿高野ビルの6階にあります。営業時間は11:00~23:00(入店は閉店30分前まで)です。

「無添蔵 新宿店」MAP(画像:くら寿司)

「無添蔵 新宿店」オープンの背景と“ハイパ”ニーズ

物価上昇にともない節約志向が強まる一方で「価値を感じる場面には支出を惜しまない」というメリハリ消費が拡大しています。外食業界では低価格業態とプレミアム業態の二極化が進み、価格に対する満足感や納得感、そこでしか得られない体験価値を兼ね備えた「ハイパ(ハイグレード・パフォーマンス)」が新たなニーズとして生まれています。

「無添蔵 中目黒店」ではオープン時から福井県内の漁港で水揚げされた魚を北陸新幹線で輸送して提供。新宿店でも継続します(画像:くら寿司「無添蔵 新宿店」記者説明会より)

新宿店は、大手回転寿司チェーン初の「北海道新幹線輸送」を活用。地方の生産者と連携し、世界有数のターミナルである新宿で、まだ広く知られていない魅力的な食材を高付加価値な食体験として提供します。

新宿店限定! はこビュンが叶える「新幹鮮魚便」ラインナップ

朝〆の「函館サーモン」

オープンに先駆け、店舗内覧会では新商品の数々がお目見えしました。最大の目玉となるのは、北海道新幹線輸送によって鮮度が保たれた「函館サーモン」などの新幹線魚(しんかんせんぎょ)です。
通常、地方の朝〆鮮魚をその日のうちに首都圏で提供するのは至難の業です。しかし、現地の水産会社の協力による「産地での一次加工」で荷物量のコンパクト化を図り、JR東日本の列車荷物輸送サービス「はこビュン」を掛け合わせることで、超特急輸送を実現。水産業界の課題である「鮮度低下」と「物流コスト」を新幹線のスピードが見事に解決する画期的なシステムです。

【北海道から新宿店までの輸送フロー】

北海道から新宿店までの輸送フロー(画像:くら寿司「無添蔵 新宿店」記者説明会より)

漁業創生の取り組みで培ってきた地域業者・加工先とのリレーションにより、北海道で朝〆した魚をその日の夕方に新宿で提供する驚きのタイムスケジュールが組まれています。

~午前4時:北海道の漁港で水揚げ・〆作業後、産地加工場にて一次加工
~午前6時:トラックで出荷、新函館北斗駅へ輸送
新函館北斗 07:38発~東京 12:08着(北海道・東北新幹線 はやぶさ12号)
~午後3時頃:車両で新宿店へ到着、店舗にて調理開始
夕方より販売開始

鮮度抜群!北海道の朝〆鮮魚メニュー(毎週水曜・日曜)

「函館 おおずわいがに」は一杯1,980円。かなりのビッグサイズでした!

生ならではの脂の旨みととろける食感がたまらないご当地ブランド「函館サーモン」(420円)は、7月9日(木)から8月2日(日)までの期間限定で毎日直送します。

さらに毎週水曜・日曜には、水揚げ状況に合わせて北海道ならではの地魚が登場。活きた状態で箱詰めし、店舗で丸ごと一杯を蒸し上げるダイナミックな「函館 おおずわいがに一杯」(1,980円)をはじめ、函館の「はっかく」「くろそい」「青つぶ貝」「くろがれい」「さめがれい」(各420円)など、都内にいながら北海道の漁港めぐりをしているかのような高鮮度の地物が味わえます。

福井の朝〆鮮魚メニュー(毎週月曜・火曜・木曜・金曜・土曜)

漁期に合わせた福井の朝〆の鮮魚も提供(画像:くら寿司)

上記以外の曜日は、従来より実施している北陸新幹線を活用した福井の朝〆鮮魚メニューを提供します。冬季など北陸の定置網漁が困難な時期には北海道産鮮魚を代替活用することで、年間を通じた安定供給を目指すとのこと。輸入水産物に依存せず、国産水産資源の活用促進を鉄道ネットワークが支えるという、SDGsの観点からも非常に意義深い取り組みです。

新幹線が運んでくるのは、単なる食材ではなく、地方の海風と鮮度という“体験”そのものです。遠く離れた北海道や福井の漁港と新宿が、鉄路で一本に結ばれるロマン。ぜひ皆さんも、特急券の代わりに暖簾をくぐり、新幹線が運ぶ極上の鮮度を味わいに、新宿へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

文・写真:斎藤若菜
※新幹線輸送画像:JR 東日本/JR北海道 協力

(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

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