駅名はアイヌ語「コンプ・モイ」(昆布の採れる湾)に由来します

昆布盛駅は森の中にぽつんとあって、人家の並ぶ昆布盛漁港は駅の北東数百メートルに離れています。根室半島の付け根に広がる温根沼(おんねとう)は駅の南西にあります。

昆布盛の沖にはユルリ島・モユルリ島があって鳥獣保護区、北海道の天然記念物にも指定されているためにメディアを含め人間の立ち入りが禁止されています。

実はこのユルリ島、昆布漁が盛んだった戦後、昆布の干し場を持たない漁師などが昆布の干し場に島を利用していました。ユルリ島は断崖絶壁に周囲を囲まれた高さ40メートルの台地状の島で、1950年代初頭に昆布漁師が昆布を断崖の上に引き上げるための動力として馬が持ち込まれました。北海道の馬(道産子)です。多いとき島には6軒の番屋がありましたが1960年代にはエンジン付の船が普及し島を利用する漁師は減ってゆきます。1971年には再び無人島に戻りました。その時に漁師が残した馬が野生化して1990年代には30頭前後に増えていました。2006年島に住んでいた漁師も高齢化し雄馬を間引きし雌馬だけが島に残されたのです。

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2011年島の歴史を記録するために根室市から委託された写真家の岡田敦さんが島に渡り撮影を開始しています。2014年には6頭の雌馬が確認されています。

岡田さんのホームページ「ユルリ島の野生馬」で氏の撮影した馬を見ることができます。https://okadaatsushi.com/yururi_island.html

昆布盛駅を通ると昆布盛港に行きたくなります。ユルリ島に渡ることはできませんが、高台から天気が避ければ双眼鏡で野生馬が見えるそうなのです。

(写真・記事/住田至朗)