チキと呼ばれるレール運搬用貨車を連ね、DE10形ディーゼル機関車(↑↑↑画像)や電気機関車が引くレール輸送列車が、もうそろそろ姿を消すかも―――。

そんなことを想わせる動きが、いま尾久車両センターなどでちらっとみえる。2017年9月のJR東日本発表を覚えてる? レール輸送用新型気動車キヤE195系を導入するという内容。

「JR東日本は、交換用のレールを輸送するために、機関車とレール輸送用貨車を使用している。これら国鉄時代に製造され、老朽化の進んだ車両の置き換えを行うため、気動車方式による効率的な輸送システムの検討を行ってきた」

「このたび、JR東海が開発し、2008年に導入したレール輸送用であるキヤ97系をベースに、当社むけに耐寒耐雪対応等のカスタマイズを行った、レール輸送用新型気動車を導入することにした。今後、性能評価や技術的検証を実施した後に、本格的に運用を開始する予定」(JR東日本)

そう。JR東日本キヤE195系は、JR東海が日本車輌に発注してつくらせたキヤ97をベースにつくったロングレール運搬車と定尺レール運搬車の形式で、耐寒耐雪構造強化、JR東日本保安装置搭載に加え、ロングレール運搬車は編成の組み換えがかんたんにできるような積付装置の配置の変更などが施された。

そんなキヤE195系が実は、しれっとその数を増やしてた。3年前の発表からスポットライトを浴びないまま。ちなみにキヤのキは気動車、ヤは役所で、事業用ディーゼルカーって感じ。

所属先の小牛田運輸区にはいま、ロングレール運搬用11両編成 LT-1 編成が1本、定尺レール運搬車2両編成 ST-2 ~ ST-6 編成5本がいる。そして1本 ST-1 編成が尾久車両センターに転属したらしいし、しかもいまロング11両の LT-1 編成も尾久車両センターにいるらしい。

こうした気動車式レール運搬車は、機関車けん引列車と違い、レール基地から現場までのレール輸送や回送を効率化し、現場でのレール取り卸し作業性を向上させるという。

JR東日本に、JR東海グループがつくるキヤが続々と増備されて、いよいよ本格稼働すると、これまでの機関車がけん引するレール輸送列車が、消える。

3年前の発表には、北九州や瀬戸内の製鉄所でつくられたレールが、船や貨物列車で東京・越中島(東京レールセンター)や仙台(仙台港、仙台レールセンター)に輸送するイメージ図が描かれている。

最高運転速度も機関車けん引の85km/hから、キヤE195系は95km/hにアップ。営業運転旅客列車ダイヤの間を同じ歩調で走れるというメリットももつ。もしかして、形式数字の95って、この最高運転速度からきた?

もちろん、もともとあるポテンシャルも有利。機関車けん引と違い、気動車方式を採用することで、電化・非電化区間を問わず走行OK。

編成両端に運転台があるから、機関車の入換作業(機回しとか)が要らない。乗務員の機関車のハンドル訓練とかも省略できるし、機関車別のメンテナンスもなし。

都会に残る、時刻表に乗ってない線路、総武線 越中島支線に、キヤE195系が常駐する日も、そう遠くない感じも―――DE10がひくレール輸送列車をみるならば、いまのうちかも。