メトロ有楽町線延伸でスカイツリーライン沿線から臨海部に直行!?

メトロ有楽町線延伸のイメージ 画像:交通政策審議会

最初に挙げた「地下鉄の新線プロジェクト」とは、①地下鉄8号線(メトロ有楽町線)豊洲~住吉間の延伸 ②都心部・臨海地域地下鉄構想 ③都心部・品川地下鉄構想――の3路線を指します。

プロジェクトを路線図とともに紹介すれば、有楽町線延伸は豊洲から北上して住吉で半蔵門線に接続させます。最近の豊洲は高層ビル群が建設されて発展が目立ち、メトロの2路線がつながれば東武スカイツリーライン沿線から臨海部へのアクセスが便利になります。国の資料では、「事業計画の検討は進んでおり、関係地方公共団体(東京都のこと)、鉄道事業者などで費用負担のあり方や事業主体の選定について合意形成を進めるべき」とされています。

つくばと臨海部が結ばれる

都心部・臨海地域地下鉄構想のイメージ。TXは「常磐新線」と表記されます。 画像:交通政策審議会

2番目の都心部・臨海地域地下鉄線は、秋葉原始発のつくばエクスプレス(TX)を東京駅まで延伸。そこから銀座を経て、臨海部に向かいます。東京駅から先は、TXとは別の事業者が運営します。

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国の資料には「都心部・臨海地域地下鉄構想は構想段階であるため、関係地方公共団体などで事業計画について、十分な検討が行われることを期待」とあります。秋葉原―東京間が実線なのに、そこから先が点線なのはそのため。東京都は国交省の有識者委で、〝十分な検討が行われること〟を期待しているようです。

都心部・品川地下鉄構想のイメージ 画像:交通政策審議会

3番目の都心部・品川地下鉄構想は図の通り、白金高輪と品川を結ぶ地下鉄の新線というか枝線です。白金高輪にはメトロ南北線と都営三田線が乗り入れます。国の資料には「六本木などの都心部と、リニア中央新幹線始発駅の品川駅とのアクセス利便性が向上される」と整備意義が示されます(南北線が通るのは、六本木から少し離れた六本木一丁目ですが……)。

2つのメトロ線をつなぐ、有楽町線の延伸線は開業すればメトロが運行するでしょうが、同社は「新線建設は行わない」とします。都心部・臨海地域地下鉄と都心部・品川地下鉄は、どこが建設するのか決まっていません。建設費の工面も問題です。東京都はどうやら、「メトロが中心になって新線を建設してほしい。メトロ株の売却益は、建設費に充当してほしい」と考えているようです。

2021年7月ごろまでに答申案まとめる

東京メトロの相互直通運転イメージ。東京の地下鉄は多くがJRや私鉄と相直するので、短区間の新線建設でも整備効果は郊外の広範囲に及びます。 画像:交通政策審議会、東京メトロ提供

ここまでは専門用語を避けてきましたが、最終章は正式名称で書きます。国交省の有識者委とは、交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会のこと。赤羽大臣は小池都知事の緊急要請を受けて、同部会にメトロ株売却のあり方を諮問。諮問を受けた鉄道部会は、東京工業大学の屋井鉄雄副学長・教授、東京女子大学現代教養学部の矢ヶ崎紀子教授、慶應義塾大学商学部の加藤一誠教授ら有識者6人に委嘱して「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等に関する小委員会」を設置しました。

初回の会合では、上原淳国交省鉄道局長のあいさつに続き、国交省側が東京の地下ネットワークの現状を説明しました。2021年2月18日に開催予定の次回会合では、東京メトロと東京都からヒアリング。その後、委員間で議論して、7月ごろまでに答申案を作成するスケジュールです。

首都圏の方限定かもしれませんが、せっかくの機会ですから、読者の皆さんもどんな地下鉄路線があれば便利か、考えてみてはいかがでしょうか。本件に関しては続報を取材・紹介したいと思います。

文:上里夏生

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