トキ鉄の針路は一路東京へ!?

なぜ日本海側のトキ鉄が、太平洋側の銚電と姉妹縁組み? 鳥塚社長がいすみ鉄道社長時代、同じ千葉県の銚電と交流があったというのが主な理由ですが、あいさつではもう少し深い意図も披露しました。

新潟県最初の鉄道・直江津線(信越線の前身)が、直江津ー関山間に開業したのは1886年。直江津発の列車は東京を目指しました。2021年は、直江津線開業から135周年の節目。鳥塚社長は、「直江津線の原点に返り、関東の鉄道との提携を目指すことにした」と話しました。

姉妹鉄道で知名度アップ

もう少し、姉妹鉄道のメリットを考えましょう。思い当たるのは、知名度向上。本サイトでは、トキ鉄、銚電と普通に書いていますが、世の中にこんな鉄道会社があることを知っている方(鉄道にさほど関心のない方です)は、さほど多くありません。

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銚電は、社名に銚子の地名が入るので、どこを走る鉄道かは分かります。少し前には、経営危機やぬれ煎餅がバラエティー番組に取り上げられたので、記憶のある方もいるでしょうが、トキ鉄はひょっとしたら〝佐渡島の鉄道〟と誤解する方が現れそうな気も(トキ鉄ファンの皆さんスイマセン)。

鉄道は、本質的には来て乗ってもらわないと収入にならない商売。銚電でトキ鉄を知る、トキ鉄で銚電を知る方がいれば、ビジネスチャンスが広がります。

鉄道を知らない人も購入するぬれ煎餅

トキ鉄と銚電を比べれば、鉄道の規模的にはトキ鉄の方がずっと大きいのですが、関連事業は銚電が先輩です。代表的な商品のぬれ煎餅は、専門業者に製法を習い、銚電ファンはもちろん、鉄道を知らない人にも購入してもらえるようになりました。

さらに、銚電は経営危機が表面化した際、隠すことなく発信。「このままでは電車が走れない」と〝SOS〟を発して、世間を見方に付けました。

2020年は、ホラーコメディー映画「電車を止めるな!~のろいの6.4キロ~」を自主制作。全国で上映会を開き、会場でぬれ煎餅やグッズを販売して増収につなげています。

前章に「鉄道は乗ってもらわないと収入にならない商売」と書きましたが、来てもらわなくても、乗らなくても、応援できる手立てを編み出したのが銚電ともいえるでしょう。

姉妹縁組みでコラボバッジ発売

トキ鉄は、姉妹提携を記念して車両に両社コラボシールを貼付。レールパークでは、コラボバッジや銚電グッズを売り出します。レールパークで銚電グッズを含め2000円以上の買い物すると、銚電きっぷをプレゼントします。今後もコラボグッズを増やすなど、交流の輪を広げます。銚電も、同様の取り組みを実施します。

締結式で鳥塚トキ鉄社長は、「地域の良いもので交流することで、経済的結び付きもできる」、竹本銚電社長は「鉄道のプロフェッショナル・鳥塚社長のアドバイスをいただきながら、親交を深め良好な関係を築きたい」と、それぞれ抱負を述べました。